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半固体電池や全固体電池の研究開発を手がける中国「太藍新能源(Talent New Energy)」と中国の自動車メーカー・長安汽車(Changan Automobile)が今月7日、重慶市で共同開催した電池技術発表会で、電解質膜を省いた無隔膜構造の固体電池技術を発表した。
太藍新能源は、固体電池の隔膜を無くすという技術的快挙を成し遂げたことになる。説明によると、同社の無隔膜半固体電池は、従来のリチウムイオン電池に比べ、同じ条件下での安全性が大きく向上したという。また、加圧や加熱、過充電などの安全性試験で国家規格を大きく上回り、中国の「電気自動車用動力蓄電池の安全性に関する要求」(GB38031-2020)と「電気自動車用リチウムイオン蓄電池の安全性に関する技術規範」(GB43854-2024)の認証を取得した。
無隔膜技術を導入することで、電池の互換性や適応性を大幅に向上させられる。無隔膜固体電池技術は、極材複合固体電解質層やサブミクロンレベルの成膜によって、リチウムデンドライト(樹枝状結晶)の成長を効果的に抑え、より高い安全性を保証する。
さらに、さまざまな材料に対応しており、ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)、リン酸鉄リチウム(LFP)、リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)なども使用可能で、エネルギー密度の異なる電池をオーダーメイドで生産できる。使用する隔膜材料や電解液が減るため、原材料コストが10%以上減少し、生産効率も向上するという。
従来の電池の主要材料に数えられる隔膜には一般的に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)が使われる。高温になると収縮しやすく、正極と負極が短絡(ショート)して大量の熱が発生すれば、電解液の燃焼や電極材料の熱分解を誘発し、電池の発火や爆発につながる。
隔膜の耐熱性を高めるために、業界では幅広い研究と多くの改善措置が進められてきた。その結果、耐熱性はある程度向上したが、電池の温度が200度以上になった場合に隔膜が大きく収縮するのを抑えるのは困難なままだ。
従来のリチウムイオン電池では、爆発などを防止する措置を講じることで、耐熱性の向上を図るのが一般的だった。電池パックに、エアロゲルやマイカ、液体冷却システムを追加したり、高強度シェルを使ったりしてきたが、多くの措置を講じても、コストが増えると共にシステムが複雑になるだけで、隔膜の特性に起因する安全性の問題を根本的に解決することはできない。
太藍新能源は、従来のリチウムイオン電池に使われていた材料を段階的に減らしながら、固体電池の開発を進める戦略を採用した。
第一段階では、隔膜と電解液を減らした半固体電池の量産と車載化を進める。第二段階では、電解液を完全に無くした全固体電池をドローンなどの「低空経済」の一部の分野で活用する。第三段階では、負極を減らし、エネルギーを発生させる活物質だけを残す。そして最終的には、負極の無い全固体電池の製品化を目指すという具合だ。
同社はこの方針に基づき、従来のリチウムイオン電池から半固体電池、全固体電池へと段階的に開発を進める明確な道筋をつけた。
固体電池は、従来のリチウムイオン電池よりもエネルギー密度が高く、安全性に優れている。中国や海外の主要メーカーが発表している全固体電池の量産は、2027~30年に実現する見通しだ。太藍新能源が発表会で明らかにした計画によると、無隔膜半固体電池は2026年にEVへの車載試験を実施し、無隔膜全固体電池は27年の量産開始を目指すという。
(翻訳・大谷晶洋)
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