「IP・グッズ」「ペット」「シルバーエコノミー」⋯2024年の中国トレンドを知る5つのキーワード【年末特集】

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「IP・グッズ」「ペット」「シルバーエコノミー」⋯2024年の中国トレンドを知る5つのキーワード【年末特集】

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2024年、中国メディアで頻出したトピックを基に、トレンドとビジネスの観点から注目キーワードをそれぞれ5つ選んで紹介していきたい。

この記事では、まず一般消費者向けサービスに関連するトレンドを取り上げる。今年は「高コスパ商品」「IP・グッズ」「シルバーエコノミー」「ペットビジネス」「生成AIサービス」の話題が特に目立った。

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高コスパ商品

景気の先行きに不透明感が広がる中、2024年のキーワードのうち、飛びぬけて多かったのが高コスパ商品の話題だ。去年の中頃まで続いた価格上昇(消費のアップグレード)から一転、値段を切り詰めたサービスや商品が求めるようになり、節約志向が強まったと感じる1年だった。

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アパレル業界では、高級ブランドや中高価格帯商品の売上が減少し、代わりに型落ちのブランド製品を求めて、多くの若者が郊外のアウトレットに向かい、アウトレットの観光地化が進んだ。またそれでも買い続けたいという消費習慣を変えられない人たちは、アリババの中古ECプラットフォーム「閑魚(Xianyu)」を活用。過去1年間でなんと1億人を超える利用者が出品し、1日の平均取引高が10億元(約200億円)以上だった。

中でもユニクロ製品がは人気で、統一されたサイズ感や高品質、さらにはリセールバリューの高さが支持のの理由だった。また、着合わせの必要がなく防寒防水に優れているジャケットや、近年あまり話題にのぼらなかった偽ブランドの再流行なども目立った。

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飲食業界でも同様に、低価格志向が強まった。これまで流行していた少し贅沢な料理チェーンの登場は一気に減少し、代わりに「サイゼリヤ」のような安くて早くて美味しい店が評価された。1元(約20円)の氷カップなど、破格の値段を武器に注目を集めるドリンクチェーンの「MIXUE(蜜雪冰城)」が中国国内外で人気を博した。

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さらに、中国国内では物価が安い地域(東北地方や安徽省など)の食堂がが人気になり、既存のチェーン店も負けじと10年前に戻るような価格設定に。低価格競争でも生き残るために、スタッフを大幅に削減したセルフサービスの店も続々登場するほか、人件費が安くしっかり仕事をこなす中高年が再評価されるニュースもあった。おかげで大都市でも10元台(約200円)で十分お腹いっぱい食べられるようになったが、その影響で店舗や企業は厳しい経営を強いられ、客が来ない高級レストランは閉店の憂き目に。

IP・グッズ

2024年はIP(知的財産)を活用したグッズが引き続き注目を集めた。特に日本発のIPが人気を博し、前半ではちいかわが話題に。雑貨チェーン「メイソウ(名創優品)」での関連グッズ販売や、主要都市でのポップアップストア開催が盛況だった。オンラインでは、ダブルイレブンセール(双11)ではちいかわオフィシャルショップが上位にランクインし、人気SNSの小紅書(RED)やや抖音(Douyin)では多関連コンテンツが数十億単位で再生されるなど、オンラインオフライン共に大きな反響を呼んだ。

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後半では日本や中国のゲームやアニメのキャラクターグッズビジネスの話が多かった。モールへの集客手段として、グッズショップ「潮玩星球」「GOODSLOVE」「三月獣」などが一気に店舗を増やし、書店もグッズフロアを新設。これらの店舗は、IP関連株価の上昇をもたらすほどの影響力を発揮した。

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購入するのは学生がメインで、男性だけでなく女性向けの恋愛要素の入ったいわゆる「乙女ゲーム」のIPも充実していることから女性客も多い。日本のショップから買い付けた商品は店の看板商品になり、日本の商品が中心の蔦屋書店はオープン時には話題になった。

一方で、中国のグッズショップで扱われる商品はゲームやアニメがベースでどこへいっても取り扱い商品はそう変わらず、新しいIPの商品は出しにくく、在庫が更新できない問題がある。過去の漢服ブームのように市場崩壊のリスクを懸念する声もある。

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新規IPでは西遊記の世界観がベースの大作ゲーム「黒神話:悟空」が話題を呼んだほか、乙女ゲームも台頭した。特に後者はゲームだけでなく、グッズや他ブランドとのコラボ商品でファンがお金を落とし続けている(この辺は先行する原神にも言える)。このことから魅力あるIPで、グッズ販売も視野に入れたゲーム開発が進むようになった。他方でIPコラボが多すぎて消費者にはありがたみがなくなりつつあるという反面も。

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シルバーエコノミー

1話あたりの尺が数分で何十話〜何百話と続くショートドラマの人気が若者から中高年へとシフトした。中年女性が金持ち男性とばったり出会い恋に落ち、また中年の人々が直面する子供の教育、家族の再会、結婚と恋愛、キャリア闘争などを描くストーリーが中高年の視聴者に刺さり、利用者を増やした。ネットリテラシーが低く利用費をどんどん落としてくれることから、少額の製作費で大きく稼げると多くの業者が参入した。ショートドラマの他、デジタル系では故人をAIを使って「デジタル蘇生」や、生成AIで作られた非実在の美女がショートムービーに登場し商品を販売するといったサービスが登場。デジタルテクノロジーが新鮮に見える中高年には刺さったサービスだった。

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ちなみにショートドラマは海外でもまさに受け入れられている段階で、欧米中心のショートドラマアプリ「ReelShort」は、一時期は1日あたりのダウンロード数でTikTokやNetflixをしのぐ勢いだ。リリース元の「中文在線集団(COL Group)」は、日本向けに「UniReel」をリリースしている。

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一方でオフラインでは、少子高齢化から幼稚園の空き部屋を老人向けサービスに回し、幼稚園の先生が老人介護施設に転職するといった動きや、教育機関の経営が成り立たなくなり教育業界志望の若者が高齢者向けカルチャースクール「老年大学」でスマホの各種アプリの使い方やダンスなどを教え活路を見出すといった動きがみられた。さらに在宅向けの老人介護ソリューションや製品も増えている。

ペットビジネス

高齢化や一人暮らしの若者の増加を背景に、中国で飼われているペット数が2億匹を超えた。。ペット関連の支出が増える中、ペット用スマート機器やペット同伴可能な店舗・サービスが増加。

可愛いペットを飼ったら見せたくなるもので、ライブコマースで配信される「名物犬・名物猫」が続々登場。動物が主役の動画が話題を呼んだほか、ペットの飼育で直面する問題の学術的な解説動画が受け入れられ、ひいては配信アカウントが販売する商品が視聴者に売れるビジネスへと転化した。

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ペット商品に携わる企業は増え、販売の舞台は中国から世界へ。ペット向け繊維用品の「FunnyFuzzy」をはじめ、ペット用洗濯機やペットの自動餌やり機など、中国発のペット製品ブランドが世界進出を果たすなど、市場の拡大が続いている。

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生成AIサービス

生成AIブームが中国では2023年にすでに到来したが、24年の生成AIはコンシューマー系ではTikTokのバイトダンスが目立った。圧倒的な安さで利用できる生成AIツール「豆包」でシェアを獲得し、レタッチ&画像生成の「PicPic」、ストーリー作成の「BagelBell」、AI botの「Coze」、キャラクター作成の「AI劇情」、数学学習サポートの「Gauth」などのAIサービスを矢継ぎ早に次々と投入した。ほかにも生成AIを使った女性との恋愛会話シミュレーターや、AI電話代行(ロボットコール)、弁護士相談サービスなど、ある用途に特化した実用的な生成AIサービスも次々と生まれた。

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シルバーエコノミーでも触れたが、亡くなった人を動画ソースを元にAIを活用して復活させるサービスも登場。似たような例では、大手ECの京東(JDドットコム)の劉強東CEOそっくりのバーチャルキャラクターがライブコマースを行い話題になった。

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現在、AI搭載のスマホやパソコン、スマートテレビも続々とリリースされたが、値段は高くまだトレンドになったとは言い難い。コスパのところで触れたが、スマホでもお得な型落ち製品や中古製品を買う動きがあり、高い新品に消費が向かわないのだ。値段が落ち着いた来年以降に普及し、競争することで面白い製品やソリューションが生まれることだろう。

【特集】活用広がる中国のバーチャルヒューマン、大規模言語モデルの登場でどう変わったのか

(文:山谷剛史)

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