危険作業を肩代わりする「特殊ロボット」、巡回点検や風力発電機メンテで活躍

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特殊ロボットを開発する中国企業「西安量子智能科技(Quantum Intelligence)」(以下、量子智能)がこのほど、シリーズAで中集弘遠と天鷹合智から4000万元(約8億円)を調達した。資金は生産規模の拡大や市場開拓、製品アップデートに向けた研究開発に充てられる予定だ。

量子智能は2016年に設立され、危険な環境で作業するスマートロボットやソリューションを提供する。過酷な作業環境にロボットを導入することで、事故リスクを軽減し、生産性と安全性を向上させることを目指している。

危険作業を肩代わり

ここ数年、AI技術や機械学習の進歩に伴って、特殊ロボットのスマート化や自律化が進み、複雑な環境に対する検知能力や意思決定能力が向上してきた。国際ロボット連盟(IFR)などの統計によると、2017年以降に中国の特殊ロボット市場は年平均30.7%のペースで成長しており、24年の市場規模は34億ドル(約5100億円)と見積もられ、現在も生産能力が拡大しているという。

量子智能は危険で作業強度の高い職種にフォーカスし、作業ロボットと巡回点検ロボットの二大製品ラインを打ち出した。作業ロボットは高所のほか、可燃性物質や毒物・劇物などを扱う危険な環境での作業を肩代わりするもので、風力発電や造船、化学工業などの分野で活用される。

高所作業ロボット(画像は企業提供)

例えば、風力発電機のメンテナンスに使用する高所作業ロボットは、ファーウェイのHarmonyOSをベースとしたロボットプラットフォームと連携させている。ドローンと複数の高所作業ロボットを組み合わせて、風力発電機の3Dモデルを作り、正確な座標を作成して即座にプラットフォームと同期させる。必要に応じてオペレーターが自律走行と手動走行を切り替えることができ、複雑な環境でもあらかじめ設定されたルートに従ってロボットを正確に移動させられる。稼働中はロボットの移動速度や位置、温度、消耗品の使用状況などがリアルタイムで表示されるため、オペレーターも逐一状況を把握することができる。

HarmonyOSベースのロボットプラットフォーム

コア部品を自社開発

主に工業の生産現場で使用される巡回点検ロボットは、現場の画像や音声をリアルタイムに伝送するだけでなく、設備の温度や煙、有害ガス濃度などのパラメーターを正確に検出する。検出したデータを分析することで、異常を素早く判断し、故障箇所を特定できるため、点検の効率化につながる。

巡回点検ロボット(画像は企業提供)

巡回点検ロボットを導入すれば作業員の負担を大幅に減らせるほか、潜在的な問題を速やかに特定することで事故の発生や拡大を未然に防ぎ、安定した生産を継続させることができる。ベルトコンベヤー輸送、製錬、鉱山、石油化学など、危険が伴う業種のデジタルトランスフォーメーション(DX)やスマート化を進めるうえで重要な役割を担っている。

量子智能は製品の信頼性や安全性を高めるため、防爆モーターやロボット用3軸ジンバルなど複数のコア部品を自社開発し、ビジョンセンサーアルゴリズムやマルチセンサーフュージョンなどの技術を導入してきた。現在、同社の特殊ロボットは採鉱、建設現場、造船、風力発電機のメンテナンスなど、複雑な産業シーンで広く活用されている。

空陸一体型ロボット(画像は企業提供)

今後は、開発チームを拡充して、新製品のリリースやアップデートを加速させる方針で、ロボットの自律性をさらに高めるために、先進的なコア部品やアルゴリズム、制御システムの開発に注力していくという。同時にブランディングにも力を入れ、展示会への参加やシステムインテグレーターとの提携、海外支社の設立などを通じて市場シェアを高めていく考えだ。

*1元=約21円、1ドル=約149円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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