中国自動車中堅・セレス、香港IPO申請 人気EV「AITO」好調の裏にファーウェイ依存のリスク

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

EXCITEのRSSに登録大企業注目記事

中国自動車中堅・セレス、香港IPO申請 人気EV「AITO」好調の裏にファーウェイ依存のリスク

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

電気自動車(EV)ブランド「問界(AITO)」で知られる中国の中堅自動車メーカー「賽力斯集団(Seres Group)」(以下、セレス)は4月28日、香港取引所に新規株式公開(IPO)を申請した。すでに上場している上海取引所との重複上場となる。

目論見書によると、2024年の売上高は前年比305.5%増の1451億元(約2兆9000億円)、売上総利益率は16.6ポイント増の23.8%だった。最終損益は前年の24億元(約480億円)の赤字から59億元(約1200億円)の黒字に転じた。米フロスト&サリバンによると、賽力斯はテスラ、比亜迪(BYD)、理想汽車(Li Auto)に続いて世界で4番目に黒字化を達成した新エネルギー車(NEV)企業だという。

セレスは香港上場での調達予定額を明らかにしていないが、156億香港ドル(約2800億円)を調達する計画だとの情報もある。目論見書によると、調達した資金の7割は研究開発費に、2割を新たなマーケティングチャネルの構築や海外販売、充電サービスに充て、世界的知名度の向上を図るという。

同社の前身は1986年に設立された重慶小康工業集団で、当初は燃料自動車と部品製造を手がけていた。2016年にNEV分野に参入し、「賽力斯(SERES)」ブランドを立ち上げた。22年に賽力斯集団に社名変更し、高級スマートEVメーカーに転身した。

ここ数年は、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と共同開発した問界ブランドが好調で、中国NEV市場で存在感を増している。主力モデル「M7」の2024年の販売台数は約20万台で、30万元(約600万円)クラスの市場で首位となった。「M9」の販売台数も約15万台と、50万元(約1000万円)クラスでトップだった。

中国新興EV24年販売ランキング:理想汽車が50万台超で首位独走、ファーウェイ支援のAITOが猛追撃

しかし、セレスが抱える「密かな悩み」も顕在化し始めている。ファーウェイが主導するEVブランド連合「鴻蒙智行(HIMA)」に奇瑞汽車(Chery Automobile)の「智界」、北京汽車集団(BAIC)の「享界」、江淮汽車(JAC)の「尊界」などが新たに加わったことで、問界がファーウェイからの独占的な「寵愛」を失いつつあるのだ。なかでも、問界M7と価格帯やスペックが近い智界R7は、ここ数カ月連続で鴻蒙智行のベストセラーとなっている。

中国首位陥落の上海汽車、ファーウェイと組み反転攻勢狙う。EV連合「鴻蒙智行」、第5ブランド「尚界」立ち上げ

*1元=約20円 1香港ドル=約18円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録