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中国の人工知能(AI)スタートアップ「司普科技(Sipu Technology)」はこのほど、シリーズAで約1000万元(約2億円)の資金調達を完了した。出資はビールメーカーの米パブストブルーリボンが主導し、中国の戦略シンクタンクの偉略達智庫(WayLeader)も参加した。資金は主に、AI製品ラインやビジネスエコシステムの構築に用いられる。また、3社はビール業界のベンチマークとなるAIエージェントの開発を目的に業務提携を締結した。
司普科技は、AIを活用した業務ソリューションの提供を通じて、企業の業務効率化とコスト削減を支援している。契約査定や取引、資産管理、営業などに向けたAIエージェントをリリースしており、金融・保険、医療・製薬、エネルギー、小売、製造など多様な業界で導入が進む。
すでにAIアプリのアジャイル開発が可能なプラットフォームを独自に構築した。Self-playやナレッジグラフの情報補正技術を活用して、クオリティの高い学習用データセットを合成し、顧客企業のサンプルデータが少なくても、構築を可能にしている。また、強化学習を通じたファインチューニングによって、特化型AIの正確性と生成コンテンツの専門性をさらに向上させ、大規模言語モデル(LLM)利用時の「ハルシネーション(幻覚)」の抑制にも取り組んでいる。
主力製品は、契約査定用の「AIアンダーライター」と営業用の「AIセールスソリューション」だ。前者はすでに保険業界で導入されており、再保険会社や保険会社にサービスを提供している。後者は、顧客開拓から販売、カスタマーサービスまでの業務をカバーし、営業の効率を大きく向上させる。
アンダーライターは、契約査定の精度が95%以上で、コストは手作業のわずか10%にとどまる。同社の張振広CEOは「これまではスタッフが1件当たり90分かけて契約査定を行っていたが、AIを利用すれば3分に短縮できる。査定の効率化とともに、契約者の顧客体験向上にも貢献できる」と説明した。
昨年10月には世界的な大手保険会社がアンダーライターを導入すると発表。すでに複数の再保険世界大手とも提携しており、今後は他社への導入拡大を通じて、業界全体でのAI活用を後押しする。
セールスソリューションは、顧客開拓、商品提案、販売、カスタマーサービスといった営業活動を一貫してカバーする。AIが反復の多い繁雑な作業を24時間休みなくこなし、業務にかかるコストを大幅に下げる。また、生成したコンテンツは、中国版TikTokの「抖音」やSNS「小紅書(RED)」といったプラットフォームで投稿可能で、企業のプロモーションを図ることができる。
こちらのAIは、トップ営業担当者の手法を模倣し、販売成功率を向上させる。また、顧客の属性に応じたパーソナライズされた接客を行い、リピート購入を促進する。現在は販売およびカスタマーサービスの機能が提供されており、2024年6月にはフルパッケージでの提供を予定している。
司普科技は、Amazon Web Service(AWS)や百度智能雲(Baidu AI Cloud)とパートナーシップを結び、グローバルでの事業展開を加速中。昨年は数百万元(数千万円超)の売上目標を達成し、今年は数千万元(数億円超)を目指すという。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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