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10月20日、中国のコスメ専門店「HARMAY(話梅)」の北京三里屯店がグランドオープンした。上海と香港に続く3店目で、売り場面積約600平米の倉庫型コスメ専門店である。
スーパーのようなコスメ専門店
この北京三里屯店は2階建てで、売り場面積が約600平米。上海店(約200平米)と香港店(約600平米)より広く、SKU(商品点数)は4000あまりだ。
店舗の1階はメークアップ用品の売り場で、来店客が遠慮なく試せるように、各ブランドの商品に必ず試用サンプルが置いてある。2階はスキンケア用品と香水の売り場で、スーパーのように商品棚間の距離が狭くなっている。
商品棚エリア以外に、2階にはテーマ別に、旅行用品エリア、香水エリア、マイナーブランドエリア、化粧エリア、芸術展示エリアの5つのエリアが設けられている。
HARMAYのオフライン店舗の殆どは、価格が各ブランド専門店より約1.5~2割安く設定されているが、免税店よりは高い。
全体的にはそれほど得というわけではないが、急いで化粧品が必要でかつ海外購入代理店がない場合には、HARMAYも良い選択肢になるかもしれない。
HARMAYが成功した秘密
HARMAYは中国国内ブランドである。2008年、アリババ傘下のEC「タオバオ(淘宝)」での販売からスタートし、メークアップ用品販売において10年の経験を有する総合的小売業者となっている。
現在、HARMAYはオンラインとオフラインで在庫を共有し、同じ商品なら同一価格で、同じSKUとして扱う方針である。これまで、オンラインでしか買い物できないユーザーに対して、オフライン倉庫から出荷していたが、現在は、オフライン店舗が完全に倉庫代わりとなり、注文の配送先に応じて、最寄りのオフライン店舗を選んで出荷する。こうして、在庫回転率は業界平均の2倍の平均39日となったという。
大量のブランドを取り扱う販売方法と各ブランドの専門店より値段が安い理由について、HARMAYのサプライチェーン責任者は次のように説明している。HARMAYは販売しているほとんどの有名ブランドの販売代理権を取得しておらず、卸売業者から入荷して販売している。安く売れる理由は、大量に仕入れをしていることや中間の転売が少ないことから、価格交渉に優位性があるためだという。
HARMAYの上海店と香港店はすでに黒字化を実現し、粗利率の平均は28%近くとなっている。2018年、HARMAY全体の売上高は2.8億元(約42億円)で、2019年には4億元(約60億円)に達する見込みだという。
不安視されるビジネスモデル
2017年に上海で最初のオフライン店舗をオープンした時から、HARMAYのビジネスモデルは不安視されてきた。現時点でのスキームは、メークアップ用品を中心とし、有名ブランドと人気商品を網羅して店頭で販売し、低価格で消費者を集めるというものだ。同じようなビジネスを営んでいるのはフランスのLVMHグループ傘下の化粧品専門店「セフォラ(Sephora)」と香港のドラッグストアチェーンの「ワトソンズ(Watson’s)」だ。ただ、前者はミドルからハイエンドブランド、後者はローエンドブランドを中心とし、HARMAYが取り扱っている商品は2者の中間ぐらいの位置づけである。
HARMAYの自社ブランドは5つしかないことや、サプライチェーンが整備されていないことなどが、競争力に影響する要因となっている。仮にほかにも同等な低価格で大量な商品を取り扱う業者が現れれば、すぐに第2のHARMAYとなるだろう。
また、商品について、現在HARMAYはマイナーブランドを中心にし、独占代理しているマイナーブランドは19種類がある。一方、ハイエンドブランドの代理権の取得はまだ少ない。
目下、HARMAYにはハイエンドブランドの代理権の獲得は難しいと思われる。グローバルなハイエンドブランドがスーパーのような業者に代理権を付与することは考えにくい。現在彼らが代理権を付与しているのは百貨店に出店するコスメカウンター、大型免税店、およびセフォラしかない。よって、HARMAYは他のチャネルを通じて仕入れるしかない。
一方、HARMAYが長期的に中間貿易業者や代理業者から商品を仕入れた場合、安定した低価格を維持できる保証はない。また、HARMAYの特徴とも言える独占代理をしているマイナーブランドは、どれぐらい持続的な来客をもたらせるのかも疑問だと思われる。
今後、HARMAYは大連と成都での出店を検討している。店舗数の増加につれ、セフォラ、ワトソンズ、またアウトレットストアとの競争がより激しくなると思われる。その場合、サプライチェーンの不備が最大な不安要素になるだろう。
(トップ画像はHARMAYの公式サイトより)
(翻訳:小六)
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