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エンボディドAI(身体性を持つ人工知能)技術を手掛ける中国スタートアップ「自変量機器人(X Square Robot)」がこのほど、シリーズAで数億元(数十億円超)を調達した。出前アプリ大手の美団(Meituan)の戦略投資部門が出資を主導し、美団傘下の龍珠資本(Dragonball Capital)も参加した。
自変量機器人は2023年12月に設立。汎用ロボット向け基盤モデルの研究に注力し、現実世界のデータを基としながら、精密作業に適した汎用ロボットの開発に取り組んできた。今回調達した資金は、エンボディドAI向け基盤モデルとロボット本体のアップデートに充て、さまざまな分野に応用できる汎用ロボットの開発を加速する方針だという。同社は設立から1年半足らずの間に計7回の資金調達を実施し、累計10億元(約200億円)余りを調達している。
独自開発したエンボディドAI向け基盤モデル「Great Wall」シリーズの「WALL-A」は、各種センシングデータ、自然言語指令および運動制御信号を統合し、入力から出力までのエンド・ツー・エンド(E2E)対応を実現した。また、大規模な事前学習やマルチタスク学習に基づいており、すでに一部の未知のタスクに対する汎化能力も示している。
同社はまた、数十のデータ処理モデルを開発し、データ収集装置のアップデートを重ね、データ品質の自動管理とデータ収集の効率の向上に成功している。さらに、マルチモーダルモデルで制御するロボット本体の開発・改良を続け、オープンな環境での精密作業や安定した運用を可能にした。ロボット本体はすでに、複数のプロセスや複雑なタスクへの対応が必要な現場で活用されている。
2024年末には、マルチモーダル出力とエンボディドAIの「思考の連鎖(Chain of Thought)」でブレークスルーを果たした。ちなみに、米アルファベット傘下のグーグル・ディープマインドは、25年3月に思考の連鎖に関する研究成果を発表している。
自変量機器人が開発したAIモデルのアーキテクチャはマルチモーダル出力を中心としており、E2Eでの情報統合を実現。ロボットの視覚や言語、動作などに関する多様な情報を統合し、非常に長いシーケンスのタスクにおける文脈推論や自己フィードバック能力を大きく向上させた。また、動的環境の感知やリアルタイムのタスク計画、非常に長いシーケンスのタスクなどの面でも新たな進展を遂げており、複雑かつオープンな環境下でのロボットの意思決定能力と実行効率が一段と高まった。
創業者の王潜CEOは「エンボディドAIの進歩は、短期的にはAIモデルやアルゴリズムの性能にかかっており、中期的にはデータの優劣が、長期的には製品の完成度がカギを握る。自変量機器人は一貫してこれら3つの面に注力すると同時に、他社に先駆けて中国国内のオープンかつ多様なシーンで実際の運用を進めていく」と述べた。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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