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中国の人型ロボットユニコーン企業「智元機器人(Agibot)」が間もなく、新たな資金調達を完了する見通しであることが、複数の情報源から明らかになった。今回は中国EC大手の京東(JDドットコム)や上海具身智能基金が出資するほか、一部の既存株主も引き続き出資するという。
出資に加わった上海具身智能基金は、上海国有資本投資と上海市浦東新区が2025年に共同で設立した国有資本ファンドで、エンボディドAIに関わるサプライチェーンへの投資を目的としている。今回の智元機器人への出資は、同ファンドにとって初めての対外投資となる。
智元機器人は2023年に設立され、中国に数多く存在するエンボディドAI開発企業の中でも、ひときわ目を引く存在となっている。企業評価額では、高い知名度を誇る宇樹科技(Unitree Robotics)や銀河通用(Galbot)と共に、トップクラスに位置づけられている。
いままでの出資者にはそうそうたる顔ぶれが並ぶ。高瓴創投(GL Ventures)や紅杉中国(Hongshan、旧セコイアチャイナ)、百度風投(Baidu Ventures)などの著名ベンチャーキャピタルのほか、比亜迪(BYD)、上海汽車(SAIC)傘下の投資会社、テンセントなど業界大手も含まれている。
共同創業者の「稚暉君」こと彭志輝氏は、1993年に中国江西省吉安市で生まれた。起業前から、中国の動画配信サイト・ビリビリで人気のロボット系配信者として知られ、二足歩行ロボットなどの自作映像で話題を集めていた。2018年に電子科技大学を卒業し、スマホ大手OPPOのAI研究所を経て、ファーウェイの「天才少年」プロジェクトに採用され、同社のアルゴリズムエンジニアとして活躍した。2023年に智元機器人を立ち上げた。
同社は設立からわずか8カ月で初の人型ロボット「遠征A1」を発表し、2024年8月には第2世代モデル「A2」もリリースした。現在は「遠征」「精霊」「霊犀」という3シリーズでロボットを展開しており、教育現場や工場、受付、展示会での案内など、幅広い用途に対応できる。
2025年1月には、1000台目の汎用人型ロボットがラインオフした。同社のパートナーで、エンボディドAI事業部の総裁を務める姚卯青氏は過去のインタビューで、今年のロボット出荷台数は数千台を見込んでおり、売上高も数倍に成長すると語っている。
2024年下半期以降、中国ではエンボディドAI分野への投資が著しく活発になっている。25年1~3月期だけでも、人型ロボット関連の資金調達が37件あり、企業33社に対し総額約35億元(約700億円)が投じられた。
では、京東はなぜこのタイミングで智元機器人に出資したのだろうか。
京東は主力のEC事業や独自の物流システムのビジネス特性から、エンボディドAI分野との親和性が非常に高い。早くからロボットやAIに関わる研究や投資に取り組んでおり、2024年7月にはサービスロボットを開発する橡鷺科技への戦略投資も発表した。
そして2025年に入り、京東はエンボディドAI分野での戦略展開をさらに加速させている。
上海証券報が3月に報じたところによると、京東はすでにエンボディドAIの分野に参入しており、専門の事業部門を立ち上げて家庭向けスマート製品の開発を重点的に進めている。社内では複数のチームが最先端技術の開発に取り組んでいるという。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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