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鉄・クロム系レドックスフロー電池を手がける「中海儲能科技(北京)(Zhonghai Energy Storage Technology Beijing)」がこのほど、プレシリーズAの追加ラウンド(2回目)で資金を調達した。出資は、アリババグループ系の金融会社アント・グループが主導し、君恒投資(Jun Heng Investments)と北京昌平中小企業成長投資基金も参加した。資金は技術開発と生産能力拡大に充てられる。
中海儲能は2020年に設立され、鉄・クロム系レドックスフロー電池技術の研究開発と応用に取り組み、再生可能エネルギーによる大規模電力グリッドの安定運用を支えるソリューションを提供している。
独自開発のレドックスフロー電池技術は、安全性、環境負荷の低さ、サイクル寿命およびエネルギー変換効率に優れる。なかでも、同社の500キロワット(kW)蓄電モジュールと設備は中国国家エネルギー局の「初号機(セット)重大技術設備リスト」に選ばれ、「国家ハイテク企業」にも認定された。
従来のリチウムイオン電池と比べ、レドックスフロー電池は安全性の高さ、環境負荷の低さ、長いサイクル寿命、高効率といった特長を持ち、長時間の電力貯蔵に適した技術として注目されている。
中海儲能の王屾CEOは、4時間以上の蓄電では、レドックスフロー電池の導入費用はリチウムイオン電池をやや上回るものの、主な設備の寿命は20〜30年と長くメンテナンス費用も極めて低いことから、ライフサイクル全体でのコスト優位性は明らかだと指摘する。また、蓄電時間が伸びるに従ってコストパフォーマンスが指数関数的に向上するため、とくに電源側と電力グリッド側の大型プロジェクトに適しているという。
さらにコストを下げるため、同社は電解液などの中核材料を国産品に切り替え、新たな材料の配合や生産技術によって電解液1キロワット時(kWh)あたりのコストを2020年当時の半分以下に低減した。システム設計では従来のコンテナ型の構造をやめ、ステーション型の構成と余熱回収システムを導入し、事業主の収益を5〜10%程度向上させている。
加えて、同社はレドックスフロー電池業界専用の大規模言語モデルも開発し、電池構造の最適化と材料の調整・試験に活用している。業界に先駆けて人工知能(AI)をレドックスフロー電池の開発に導入し、開発コストを下げることに成功した。
AIデータセンターの急増も、レドックスフロー電池の需要拡大を後押ししている。鉄・クロム系レドックスフロー電池は2万回以上の充放電が可能で、寿命が最長20年に達するほか、熱暴走のリスクが極めて低いため、AIインフラ向けの電源ソリューションとしては理想的だ。
中海儲能の受注契約額は2025年に10億元(約200億円)を突破し、26年はさらに倍増する見通し。生産能力も着実に拡大しており、既存の1GWhに加え、広東省や河南省、内モンゴル自治区などでも生産拠点を建設中で、年内には全体の年産能力2GWh以上を実現し、今後2年で見込まれる需要拡大に応える計画だ。また、電力コストの高い欧州や米国、日本、韓国などを中心に、海外展開の準備を進めているという。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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