中国の「現金離れ」加速、ATMが5年で30万台減の衝撃

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

特集注目記事

中国の「現金離れ」加速、ATMが5年で30万台減の衝撃

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

モバイル決済などキャッシュレス化が加速する中国で、ATMの数が急減している。中国人民銀行(中央銀行)が2025年2月に発表したデータによると、24年末時点の全国のATM設置台数は約80万2700台と、ピークだった19年の109万7700台から30万台近く減少(約26.9%減)した。

銀行関係者は「ここ数年間、現金を全く使っていないという人も多い。モバイルバンキングが当たり前になった今、ATMの利用率は大幅に低下している。メンテナンスが行き届かず、機能が古くなったまま放置されているケースも多い」と実情を語る。

一方で、ATMの減少と対照的に、電子決済の規模は拡大を続けている。2024年に中国の銀行が処理した電子決済の取引件数は、19年から35%増加して約3017億件に達した。中国では支付宝(Alipay)や微信支付(WeChat Pay)などスマホアプリによるQRコード決済が一般化し、都市部では現金をほとんど使わず生活することも珍しくない。

ただし、ATMの需要が全くないわけではない。都市部から離れた場所や高齢者の多い住宅地、訪中外国人の多い地域などでは、依然として現金のニーズが残っている。管理監督当局も「現金の受け取り拒否は認められない」と強調し、多様な支払い手段を確保しようとしている。

目下、多くの銀行がデジタル技術を活用した「次世代ATM」を模索している。例えば、ユーザーインターフェース(UI)の操作性向上や、公共料金の支払いなど行政サービスとの連携など、複数の機能を備えたスマート端末としての展開が進みつつある。専門家は「今後はATMの数を増やすことよりも、安全性や利便性の確保が重視されていくだろう」と指摘する。

日本でも同様の傾向が見られる。セブン銀行の推計によると、国内に設置されたATMはここ数年、毎年3000〜4000台ずつ減っている。2024年3月のATM台数は前年同月比1.7%減の17万6000台だった。

(36Kr Japan編集部)

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録