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10月中旬、微信支付(WeChat Pay)の「銭包(ウォレット)」メニュー内に、新たに「銀行儲蓄(銀行預金)」機能が追加された。同機能は現時点ではA/Bテスト段階にあり、一部ユーザーのみに開放されている。
この銀行預金機能は銀行がWeChatに提供する定期預金商品であり、ユーザーはWeChat Payの中で当該銀行の預金口座を直接開設でき、銀行窓口や銀行アプリでの手続きも必要としない。テスト画面から見るに、同機能の提携銀行は現時点で中国工商銀行(ICBC)のみとなっており、同行の既存の預金商品と同様、最短預入期間は7日で、3年定期では年利3.85%に上っている。
現在、WeChat Payの定期預金機能における口座開設、預入・引出手数料などの費用は一切かからない。
ここ1年で、WeChat Payではさまざまな機能変更が実施されている。昨年11月中旬には「零銭通」機能が正式にリリースされた。ユーザーは零銭通にお金を預け入れると同時に、これを自由に使うことができ、同時に2.383%の年利も付くというものだ。
続いて今年9月には「微信支付分(WeChat Payポイント)」機能が正式に運用開始となった。ユーザーは個人の実名登録と消費履歴などによりポイントをためることができ、ポイントの多寡に応じてシェアデバイスを保証金なしで借りたり、保証金なしでホテルを予約できたりといったサービスが受けられる。
こうした経緯からみると、今回の新機能リリースは決して突発的なものではないことが分かる。「零銭通」の短期資産運用機能、また「微信支付分」の信用評価によるレンタルサービス機能に続き、今回の新たな定期預金機能はこれまでWeChatに不足していた長期の資産運用機能を補うものとなっている。
WeChat Payのこれら一連の新機能は、UX(ユーザーエクスペリエンス)やユーザー定着度の向上にとって有用だ。
だが、定期預金機能の追加は、ユーザーをつなぎ止める上で実際どれだけの役割を果たしてくれるだろうか。IT大手企業による資産運用商品にはすでに前例がある。京東集団(JD.com)傘下の「京東金融(JD Finance)」では、アプリの「銀行精選」ボタンを押すと31銀行の100件以上の資産運用商品がずらりと表示され、年利は預入期間ごとに1~5%と幅広い。また「支付宝(Alipay)」の「財富」メニューの「理財」ページでは、銀行の金融商品に加え、保険や証券も購入できるようになっている。
これらに比べ、WeChat Payの預金機能はやや単一的で、提携銀行もわずか1行にすぎず、最長預入期間も3年だ。AlipayとWeChatユーザーの金融サービスにおける属性や定着度に関し、業界の見解は以前から一致している。すなわち、金融商品におけるWeChatPayのCVR(コンバージョン率)はAlipayに及ばないというものだ。
一方で、これはユーザーがWeChat Payを使用する習慣とも関係している。WeChat PayはWeChatというソーシャルプラットフォーム内に誕生したものであり、第三者に対する少額かつ高頻度の決済シーンを想定している。こうした前提により、ユーザーは多額の資金をウォレットに入金することはまれで、なおかつ決済に使用する資金が高い流動性を持つことを重要視する。今回打ち出された定期預金などの商品には、まさにこの習慣を変えたいとの意図が込められている。
WeChat Payポイントや零銭通といった機能では、内部テストからリリースまで1年の期間を費やしている。銀行預金機能が今後1年の間に正式リリースされることを願いたい。
(翻訳・神部明果)
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