上海のAI大会が熱気⋯90種類のロボットが一堂に、驚きのパフォーマンス続々ーWAIC 2025(2)

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上海のAI大会が熱気⋯90種類のロボットが一堂に、驚きのパフォーマンス続々ーWAIC 2025(2)

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中国AI分野最大の展示会、世界人工知能大会(WAIC 2025)が7月26日より上海市で開催され、例年以上の盛り上がりを見せた。過去最大規模となった会場では、90種類を超えるAIロボットが一堂に集結。最先端技術を搭載したロボットたちが観客を魅了した。

前編ではUnitreeやAgibotなどのスター企業を紹介したが、本稿ではさらに進化したAIロボットを披露したスタートアップを取り上げる。

星動紀元(Robot Era

業界では「高さが10センチ増すと難易度は2倍になる」と言われる。Robot Eraの人型ロボット「星動L7」は171センチの高さと65キロの重量を持ちながら、負荷の大きい動きから繊細な作業まで自在にこなす。会場では、スピンジャンプや、腰をひねり、腕を振り、スピンするなどかなり激しい動きのブレイキンも披露し、来場者を驚かせた。

ブレイキンを披露する「星動L7」

また、スタッフはロボットハンド「XHAND1」を遠隔操作し、極めて薄い宅配伝票をつまむ、スキャナーでバーコードを読み取る、ピンセットで小さなタグを挟むといった高精度な動作を実演した。さらに来場者へのマッサージなど、細やかな動きもこなしてみせた。

宅配便の荷物をつかむ「星動L7」

非夕科技(Flexiv

Flexivのロボット「払暁(Rizon)」は、中国の無形文化遺産「蛋雕」を実演。もろい卵の殻に彫刻を施す極めて細かな作業で、ロボットのエンドエフェクタの制御精度や、壊れやすい物体に対する動的力学モデルの構築能力が試される。

別会場では「串刺しおでんコーナー」で調理・提供作業も披露。工場や飲食業など多様な現場での活用を想起させた。

おでんを調理する「払暁」

雲深処科技(DEEP Robotics

多くの企業ブースではロボットと人が対話するデモが行われていたが、DEEP Roboticsのブースでは“自分がロボットになる”というユニークな体験が用意されていた。 来場者はAR(拡張現実)グラスを装着し、犬型ロボット「絶影Lite3」の一人称視点に没入できる。

さらに、ホイール型四足ロボット「山猫(LYNX)」と産業用モデル「山猫M20(LYNX 20)」が圧倒的な身体能力を披露。高さ70センチの台へ軽々と飛び乗るだけでなく、まるで雑技団員のようにバク転から倒立へと移るパフォーマンスを見せ、その運動能力と地形適応力の高さを印象づけた。

「山猫M20」

梅卡曼徳机器人(Mech-Mind Robotics)

Mech-Mindのブースには、目と頭脳と手を持ち、人間の会話を理解するエンボディドAI「小徳」が展示された。スタッフによる音声指示を理解し、肉食動物のフィギュアを黄色いボックスに、草食動物のフィギュアを青色のボックスに入れるという作業を完璧にこなした。箱へ振り分ける様子からは、柔軟な認識・判断能力の高さが感じられた。

指示に応じてフィギュアを分別する「小徳」

魔法原子(MagicLab

MagicLabは工場の生産ラインをそのまま展示ブースに再現し、高さ170センチの人型ロボット「小麦」とその仲間が働く様子を披露した。多くの観客に囲まれるなか、小麦はベテラン職人のように落ち着いた動きで正確に部品をピックアップして作業台に置き、接着剤を塗布する作業を手際よく進めた。 仲間のロボットも合金部品の入った箱を棚に運ぶ作業を行い、負荷が大きく不安定な環境でも安定した作業能力を示した。

部品をピックアップして作業台に置く「小麦」

塗布や運搬作業のほか、完成した製品の検査など製造業の現場で行われる各種の複雑な作業にも対応するという即戦力ぶりをアピールした。

優理奇科技(UniX AI

多くの人が想像する未来では、ロボットがすべての家事を引き受けてくれる。UniXのロボットはそうしたシーンを再現した。

人型ロボット「Wanda 2.0」が家政婦となって、食器を食洗器にかけ、食卓をきれいにしてくれる。ロボットは多くの手順からなるタスクを自動でこなし、家庭での作業を完全にシミュレーションできる。また楽器演奏エリアでは打楽器ハンドパンを演奏し、その器用さを示した。

打楽器を演奏する「Wanda 2.0」

智平方(AI2 Robotics)

打楽器の演奏ができるロボットはひとつではない。AI2 Roboticsはドラムを演奏するロボット「愛宝(AlphaBot)」を披露した。リズムの変化に合わせAlphaBotのアームが動きドラムを叩く。0.375秒ごとに1回叩くことができ、別のドラムへ移るのに0.75秒という速さは、プロのドラマーに匹敵するレベルだという。

ロボットには独自開発のVision-Language-Action(VLA)モデル「GOVLA」が搭載されている。人間の思考の仕組みを参考に、楽曲全体の理解とリズムコントロールを担う遅い思考と、スピーディで正確な動作の実行を実現する速い思考を連携させた。2つのシステムが互いに協調することにより、ロボットがドラム譜を理解し、ドラムを叩くという複雑な動作をすることが可能になる。

ドラムを演奏する「AlphaBot」

WAIC 2025は、AIロボットがエンターテインメントだけでなく、産業・家庭・サービス分野で実用化が進んでいることを改めて示した展示会となった。自律的に学習し、状況に応じて柔軟に行動できるロボットは、社会のさまざまな場面に浸透しつつある。来年のWAICでは、さらに高度なロボットが登場し、人と共生する未来像を描き出してくれるかもしれない。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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