AIロボットの戦場は”世界市場” サプライチェーンを武器に覇権狙う中国勢

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中国AI分野で最大の展示会、世界人工知能大会(WAIC)は今年、かつてない盛り上がりを見せた。部品の選別や器材の運搬を担うロボットアーム、来場者の案内やビラ配りをこなす人型ロボット、さらには会場のあちらこちらを歩き回る犬型ロボットまで、大勢の来場者が興味津々で見入っていた。

今回のWAICは、より一層グローバル色が濃くなったという印象が強い。主催者発表によると、今年は英国、シンガポール、マレーシアなどの企業が初めて出展し、バイヤーは10カ国以上から156チームが参加した。海外からの来場者が明らかに増え、英語や韓国語、アラビア語なども聞こえてきた。

上海のAI大会が熱気⋯90種類のロボットが一堂に、驚きのパフォーマンス続々ーWAIC 2025(1)

世界に広がる中国のAI

AIロボットはそもそもグローバルな産業だということは、WAICに参加していた企業の担当者や業界関係者の多くに共通する認識だ。

今回、最も人々の関心を集めたサービスロボットと産業用ロボットで言うと、人が行う仕事をサポートしたり、肩代わりすることが使命だが、労働力不足や高齢化、危険な仕事や反復作業の代替などは、世界の多くの国に共通する課題となっている。

中国はこの分野で中心的存在だ。国家地方共建人型ロボット創新センターのチーフサイエンティスト・江磊氏へのインタビューは、その点を裏付けている。江氏は、中国企業は米国企業に比べ明らかに優位であるとし、「まず製造業の優位性がある。人型ロボットのようなエンボディドAI産業では、製品が主体になる。中国のサプライチェーンには競争力があり、多くのシリコンバレーの企業が中国からロボットを買って訓練したいと考えている。次にデータの優位性だ。データ収集と研究がますます工場生産に似た状況になりつつあるなか、米国企業は中国企業のように豊富な製造業のデータを持つすべがない」と指摘した。

WAICに出展された人型ロボット

米モルガン・スタンレーのレポートでも、「中国はAIロボットの分野で世界をリードし、米国との差は開きつつある」と指摘している。中国は世界の法人向けビジネスの分野で、産業ロボットとサービスロボットに代表される労働力としてのツールを絶対的な主力製品とする。こうした製品の目的は非常に明確で、人の作業を代替することや効率化など、具体的な課題の解決だ。

例えば、梅卡曼徳機器人(Mech-Mind Robotics)が出展した3Dビジョン活用のロボットアームは、正確かつ素早い物品の選別や組み付け作業が可能で、将来的には自動車製造や溶接、家電の組み立て、品質検査など多くの分野での応用が考えられる。

物品を選別するMech-Mindのロボットアーム

星動紀元(Robot Era)は、物流分野で働く「星動L7」、ロボットハンド「XHAND1」、サービスロボット「星動Q5」などを出展し、さまざまな分野にわたるソリューションの開発能力を見せた。同社は海外からの受注が半分以上を占めており、テック企業の評価額世界ランキング上位10社のうち9社を顧客に持つ。

中国税関総署によると、中国の産業用ロボットの2024年輸出額は世界第2位に躍進した。25年上半期の伸び率は前年同期比で61.5%増加し、そのうち3割は欧州向けで、ハイエンド市場への参入に成功したと言える。

消費者向け製品についても市場の拡大が見込まれる。著名なAR(拡張現実)グラスメーカーXREALのブースは、国内外から訪れた多くの来場者であふれかえっていた。一見普通の眼鏡に見える同社のARグラスは、スマートフォンと連携させると100インチの巨大ディスプレイを映し出すことができる。米市場調査会社IDCによると、鮮明な画像とコスパを武器に、AR世界市場で3年連続トップを維持している。主要市場は中国、米国、日本だ。

XREAL のARグラス展示ケース

XREALは今回、ウェアラブルスマートデバイスも初めて披露した。腰や太ももに装着するもので、運動する際のサポートをしてくれる。同社の責任者によると、日常の運動シーンだけでなく、将来的にはリハビリ分野での活用も予定されており、欧州や日本など、高齢化が進む市場が海外進出の重点目標になる。

XREAL、新型ARグラス「One Pro」日本投入 米Googleとの千人計画「Project Aura」でXR覇権狙う

産業用ロボットであれARグラスであれ、中国のAI製品が海外に進出する際のロジックは変わらない。それは、強力なサプライチェーンとコスパの良さ、応用シーンの素早い展開などを強みに、世界でまだ十分に満たされていないニーズを見つけ出し、満足させるということだ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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