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ロボット用の全方位3D視覚認識技術を開発する 中国スタートアップ「天津環視智能科技」(以下、環視智能)がこのほど、エンジェルラウンドで約1000万元(約2億円)を調達した。天潤嘉誠が出資を主導し、成都高投(CDHT Investment)も参加した。資金は製品の量産、特定業界向けソリューションの開発、市場・生産体制の構築に用いられる。
環視智能は2024年4月に設立されたテック企業で、ロボットの感知・計画・制御技術の開発に注力している。同社の全方位3D視覚認識モジュールは、ドローンや無人配送車、ロボットなどへの活用が始まっている。量産ロボット向けにカスタマイズを施したソリューションも提供する。
ロボット産業の発展に伴い、ロボットにはより高いレベルの感知技術が求められると同時に、環境モデリングや意味理解、状況理解、タスク計画などを実現する能力が必要とされるようになった。環視知能を創業した孫航氏は、最近の感知技術のトレンドについて、「2年ほど前、完成車メーカーはLiDARの搭載数を競っていたが、今ではカメラのみに頼るピュアビジョン方式に移行するメーカーが増えている」と語る。AI技術が進歩したことで、ピュアビジョン方式も99%の場面でLiDARと同等かそれ以上の性能を発揮できるようになった。ロボットと自動運転には共通する技術も多く、自動運転のピュアビジョン技術をロボットに応用することも可能だ。
しかし、既存の感知技術にはそれぞれデメリットがあり、ロボットの汎用化を実現するうえで最大の壁となっている。例えば、LiDARは点群データで出力するため、情報密度が低く、色や材質を識別できないうえ、価格も3000元(約6万円)以上と高止まりしている。ピュアビジョン方式はコスト削減が見込めるが、演算性能や消費電力、膨大なタグ付けデータの確保などの課題があり、全体コストの10%以内というラインでは実用化が難しい。デプスカメラやマルチセンサーフュージョン方式にも限界があり、業界では高性能かつ低コストのソリューションが必要とされている。
環視知能が打ち出した解決策は、直径10センチの全方位視覚認識モジュールだ。200度の広角カメラ4つを組み合わせて800度の全方位視野を実現、あらゆる方向に対して高密度な空間計測が可能になったほか、白壁やガラスなど認識しづらい材質を前にしてロボットが立ち往生するという問題を完全に解決した。孫氏によると、800度の全方位視野を活用すれば、目の前が一面の白壁でも、背面からの情報も取得できるため、ロボットは自らの状況を正しく把握できるようになるという。
また、独自開発の2D-3D変換技術により、顧客が保有する2D画像から3D学習データセットを生成でき、データ関連のコストを80%削減することが可能となる。さらに教師なしの空間学習フレームワークのおかげで、ロボットは稼働しながら学習を続け、絶えず進化する汎用世界モデルを構築できる。環視知能のソリューションは低コストかつ低い演算性能でも動き、今のロボット産業のニーズに応えていく。
環視知能の製品は主にドローンや庭用ロボット、清掃ロボット、警備ロボットなどの分野で活用されており、設立1年余りですでに数百万元(数千億円)の売上高を達成した。今後は、量産体制をさらに整え、ドローンや清掃ロボット、学術研究などの分野への導入拡大を図る方針だ。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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