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プラスチックのリサイクル技術を手がける「上海睿莫環保新材料(Re-mall)」がこのほど、新たな資金調達を完了した。家具大手イケアの運営会社Ingkaグループの投資部門Ingka Investmentsが出資を主導し、既存株主の旭化成も参加した。資金は技術開発や生産能力の拡大、市場開拓に用いられる。
回収から再生、活用まで一貫
2015年に設立されたRe-mallは、再生プラスチック分野のハイテク企業として、プラスチックの回収から再生、活用までを一貫して担うビジネスモデルを構築し、特にポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)のリサイクルに注力している。創業者の朱寛CEOは、石油化学分野で8年、再生プラスチック業界で10年にわたる経験を有し、共同創業者の熊維CTOは、中国科学院で高分子学の博士号を取得、外資系化学大手での実務経験を持つ。
世界中でプラスチック汚染への対応が迫られるなか、廃プラスチックの約70%が依然として埋め立てや焼却に回されているのが現実だ。各国がカーボンニュートラルに向けた取り組みやESG(環境・社会・ガバナンス)規制を進め、政策や市場ルールの見直しを加速している。
再生プラ産業、中国が6割
欧州連合(EU)や米国、日本、中国では、プラスチック包装材に占める再生材の割合について明確な目標を定めており、多くの国では2030年までに30%に引き上げることを求めている。加えて、大手消費財メーカーも独自の取り組みを展開しており、イケアが2030年までに再生可能素材またはリサイクル材料のみを調達する方針を打ち出したほか、コカ・コーラやナイキなども25~50%の再生材を使用するという目標を掲げている。
中国の調査会社YH Researchは、2030年までに世界のプラスチックリサイクル市場が1744億2000万ドル(約25兆8000億円)に拡大すると予測している。世界の再生プラスチック産業の約60%は中国に集中しており、フードデリバリーで生じるプラスチック容器の廃棄量は世界最大規模となっている。
ただ中国の再生プラスチック産業は長らく、小規模で分散した工房型の生産体制が主流となっており、加工プロセスは環境への負荷が高く、再生材の品質や安全性も不十分だった。このため、再生プラスチックの多くが安価な製品に使用され、価格競争に陥るなど、国際ブランドが求める高品質で追跡可能な再生材とはほど遠い状態だった。特に食品グレードの再生PPは国産化率が極めて低く、技術面やサプライチェーンに深刻なボトルネックが存在している。
バージン材並み品質に再生
睿莫環保はこうした課題を踏まえ、メカニカルリサイクル(物理的再生法)を通じて解決に乗り出した。廃プラスチックの回収プロセスでは、食品包装材の自動選別装置を開発し、画像認識とデジタルシステムを組み合わせて選別効率を高め、原料の品質基準も確立した。加工プロセスでは、徹底的な洗浄や溶融ろ過などの工程により、品質や安全性を大幅に高めることに成功した。
最大の強みは、再生プラスチックをバージン材に近い品質にまで高めたことだ。すでに、米国食品医薬品局(FDA)食品グレードの基準を満たしているほか、EUのRoHS認証などを取得。製品は食品用包装材や高級玩具、自動車部品、不織布など、高い品質や安全性が求められる分野に採用され、再生プラスチックはグレードの低い用途に回すものという業界の常識を覆した。
現在、複数のグローバルブランドが同社製品をサプライチェーンに組み込み、欧米や日本など品質基準の厳しい市場に輸出している。今後は海外での協業を通じて生産拠点の建設を検討し、欧州や米国への拠点設立も計画する。
*1ドル=約148円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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