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カスタマーサポート向けの人工知能(AI)エージェントを提供するスタートアップ「馴鹿AI(Xunlu AI)」(全称:北京馴鹿智能科技)がこのほど、坤言資本(Kuan & Young Capital)とIDG資本(IDG Capital)主導のシリーズA+で数千万元(数億円)を調達した。資金は主に、スマートセールスやサービスロボットの技術開発と市場開拓の促進、業務プロセスのスマート化と効率化の普及に充てられる。
馴鹿AIは清華大学と米スタンフォード大学の出身者が中心となって2021年に設立したテック企業で、オンラインセールスとカスタマーサービスをすべてAIで肩代わりするソリューションを提供する。共同創業者で最高戦略責任者(CSO)を務める周爽氏は、投資分野や金融機関、政府機関で10年以上の経験を有する人物だ。
馴鹿AIはこの分野を専門とする中国初のAIエージェント企業とされ、、大規模言語モデル(LLM)と独自開発したAI技術を駆使して、セールスとカスタマーサービス業務をAIで代替することに注力している。
カスタマーサービスの自動化は近年注目を集めるようになってきたが、期待通りの効果が得られず普及が進まなかった。ところがこの1年でLLMは、論理的推論や知能の水準で著しく進歩し、基礎的な利用から汎用エージェントへの応用が現実味を帯びてきた。周CSOは、「LLMを基盤にすることで、オンラインカスタマーサービスをAIに任せられるだけでなく、コールセンターと音声サービスもAIが取って代わる可能性が高い」と指摘する。
馴鹿AIは、独自開発したAIアルゴリズムとマルチエージェント協調アーキテクチャにより、これまでの課題だったハルシネーション(もっともらしい誤答)を克服した。これによりユーザーの入力がテキスト・画像・音声のいずれであっても、そのニーズを正確に理解し、最適な解決策を効率的に提示できる。
また、音声認識と自然言語処理(NLP)分野でも成果をあげた。AIボットに高精度の音声認識能力を持たせただけでなく、文脈や感情、語気を理解し、より自然な会話ができるため、音声サービスの質がいっそう高まった。なかでも音声ロボットは、あいさつや質問、問題解決まで、人の介入を一切必要とせずロボットだけで完結でき、大きな進展を見せているという。
同社のソリューションは、オペレーターによるカスタマーサービスとシステムツールに頼っていたあらゆる機能を、従来の4分の1の費用で代替できる。例えば、24時間年中無休の海外サービスを中国語・英語対応で運営する場合、通常40人規模のカスタマーサポートチームが必要だが、馴鹿AIのAIエージェントなら月額わずか1万5000ドル(約220万円)で実現可能だ。すでに教育・研修、EC、3C(コンピュータ・通信機器・家電)、金融・保険、電力、通信など多様な分野で導入されており、特にEC領域で広く普及している。
周CSOによると、これまで電話が中心だったオンラインセールスやカスタマーサービスは、すでに音声やテキストの活用へと移行しつつあり、企業が自ら運営するSNSやメールにも広がっている。AIの活用は業務の自動化の一部に過ぎないが、企業全体でスマート化が進めば、AIとの協働領域はさらに拡大していく。
*1元=約21円、1ドル=約147円で計算しています
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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