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車載電池世界最大手の寧徳時代(CATL)は9月7日、独ミュンヘンで、最新の安全技術「NP3.0」と、それを搭載した初のリン酸鉄リチウムイオン電池「神行Pro」を発表した。
NP3.0技術は、EV電池の熱暴走が発生した場合に、ほかの電池セルへ熱が拡散するのを素早く阻止し、電池パックの膨張や発火を防ぐものだ。具体的には、難燃性電解液、難燃性セパレーター、ナノコーティング正極材料、セル安全装置、エアロゲル断熱パッド、防火コーティング層、回路安定制御技術、高圧アクティブ冷却技術、およびシステム制御ポリシーという8つのコア技術が集約されている。
CATL国際事業部の朱凌波CTOは、仮に電池パックが熱暴走を起こしても、NP3.0技術により1時間にわたって車両の安定走行を維持できると説明。これにより、高速道路の走行中であっても、ドライバーは速やかに安全な場所まで退避して、二次災害を防ぐことができるという。
同時に発表された車載電池「神行Pro」は、NP3.0技術を搭載した初の製品だ。電池とボディを一体化する「CTB(Cell to Body)」や独自の「Waveセル」を採用し、電池パック全体のシステム効率を76%に高めた。
神行Proは欧州市場向けに設計されており、長寿命タイプと急速充電タイプの2種類で展開する。
長寿命タイプは、欧州ユーザーの国境を越えた長距離移動や長期リースモデルを想定している。航続距離はWLTPモードで758km、寿命は12年もしくは100万kmに達し、現行の乗用車用電池の中で最も長い寿命を誇る。
急速充電タイプは、欧州の極寒環境でも迅速に充電できるのが特長。航続距離はWLTPモードで683km、充電レートは最大12Cを実現した。-20℃の環境でも、20%から80%に充電するのにかかる時間はわずか20分と、欧州市場向けのリン酸鉄リチウムイオン電池では最速となっている。
中国国内市場の競争が激しさを増すなか、CATLは海外市場にさらなる成長のチャンスを見いだそうとしている。これまでにドイツとハンガリーに生産拠点を設立し、スペインの拠点が2026年に操業開始を予定している。NP3.0技術と神行Proが発表されたことで、CATLの欧州進出も新たな局面を迎えようとしている。
(翻訳・畠中裕子)
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