中国発次世代電動工具メーカー、設立1年で急成長 “人型ロボット用工具”にも照準

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中国の新興電動工具メーカー「沃庭科技」がこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。資金は技術開発の強化に充て、サプライチェーンのエコシステム構築と事業構造の最適化を加速する方針。同社は2025年1月設立。プロ向けと消費者向けに各種電動工具の開発・生産を手がけ、需要の高い海外市場をターゲットに事業を展開している。

リチウムイオン電池のエネルギー密度向上とコスト低下に伴って、従来のコード式電動工具から小型で持ち運びしやすいコードレス電動工具への切り替えが急速に進んでおり、電動工具市場は安定した拡大傾向を示している。米Grand View Researchによると、世界の電動工具市場は2023年の367億ドル(約5兆5000億円)から年平均成長率6.4%で成長し、30年には595億ドル(約8兆9000億円)に達する見通しだという。

電動工具は、消費者向けとプロ向けに大別される。DIYなどに用いられる消費者向けでは、日本のリョービ、米スタンレー・ブラック&デッカー、独ボッシュが代表的だが、近年はHOTOやFantikkといった新興ブランドも台頭している。

プロ向けは、建築や電力、鉄道、鉱山、船舶、ハイエンド製造などの業界で用いられる。米ミルウォーキー、米デウォルト、独ボッシュ、リヒテンシュタインのヒルティ、日本のマキタが世界五大ブランドとして大きなシェアを握っている。

とはいえ、伝統的な電動工具メーカーでは技術革新がそれほど進んでおらず、製品には改善すべき多くの課題が残されている。たとえばプロ向け工具では、屋外の低温環境下でインパクトレンチのバッテリー性能が低下し、トルクが落ちて連続使用時間が大幅に短くなるため、施行現場での作業効率に影響が及んでいた。

中国のスマート家電ブランド「MOVA」のエコシステム企業として、沃庭科技はサプライチェーン上流のモーター製造技術や電磁シミュレーション・設計能力を活用し、高出力密度モーターの自社開発に成功した。また、モーター制御アルゴリズムによって、工具がさまざまな使用環境で適切に動作するようにし、使いやすさと安全性を向上させた。

「沃庭科技」の製品イメージ

沃庭科技はDIYに挑戦するZ世代の美的センスに合わせ、消費者向け製品の工業デザインや色・素材・仕上げを刷新した。また、DIY初心者も気軽に使用できるよう操作補助アルゴリズムを導入したほか、住宅事情を考慮してコンパクトに収納できるようにした。

今後の事業展開について、同社の担当者は「標準的な製品ラインの企画開発や事業拡大に加え、戦略的な開発リソースを3つの最先端分野に集中させている。1つ目は人型ロボット(ヒューマノイド)用電動工具、2つ目は電動工具自体のスマートロボット化、3つ目は人間と高度に連携する協働型電動工具の開発だ」と説明した。

「沃庭科技」の製品イメージ

沃庭科技は設立1年足らずだが、すでに欧州各国に向けて消費者向け製品を販売している。9月にはオフラインでの小売はもちろん、公式サイトやアマゾンなどでのネット通販も開始しており、2025年10〜12月の流通取引総額(GMV)は1億元(約21億円)を突破する見込みとなっている。また、プロ向け製品も26年1〜3月期の発売を予定している。

*1元=約21円、1ドル=約150円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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