「中国版エヌビディア」カンブリコン、7〜9月期売上高1300%増 AIチップの国産化が追い風に

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人工知能(AI)開発ブームが広がるなか、中国の半導体メーカー「寒武紀科技(カンブリコン) 」の業績が急拡大している。2025年7〜9月期決算は、売上高が17億2700万元(約360億円)と前年同期比で1332.5%増加。純利益は5億6700万元(約120億円)と4四半期連続の黒字となった。1〜9月の累計売上高は46億700万元(約970億円)、純利益は16億500万元(約340億円)となった。10月26日時点で時価総額は6000億元(約12兆6000億円)を突破した。

2016年に設立されたカンブリコンは、中国を代表するAIチップメーカーとして「中国版エヌビディア」とも呼ばれる。AIの推論・学習を高速化する「思元」シリーズからクラウド、エッジコンピューティング、端末向けの製品を打ち出しており、AIサーバーや自動運転分野などで採用が拡大している。

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カンブリコンの業績急伸の背景には、大規模AIモデルの学習・推論に伴う計算能力需要の急膨張がある。海外製GPUの対中供給制限が続くなか、同社のクラウド向けAIチップが国産代替需要を取り込んだ。1〜6期の売上高は前年同期比46倍の28億7000万元(約600億円)に急拡大し、総売上高の99.6%を占めた。

一方で、成長の勢いに陰りも見える。7〜9月期の売上高は前期比で2.4%減、純利益は17%減少している。さらに在庫の積み上がりやキャッシュフローの悪化が課題として残る。取引先上位5社で売上高の9割超を占めており、特定の顧客に依存する構造もリスク要因となっている。

現在のところ、カンブリコンの株価収益率(PER)はエヌビディアを大きく上回る。市場では「カンブリコンの急成長は偶然ではなく、中国でAIチップの国産化が進む過程で生まれた必然的な結果だ」との見方が大勢を占めるが、高いPERを正当化できる持続的な成長を示せるかが、同社の真価を測る試金石となりそうだ。

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(36Kr Japan編集部・茶谷弥生)

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