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中国の建設ロボットメーカー「湃特納機器人(Partner Robotics)」がこのほど、シリーズAで数千万元(数億円)の資金調達を実施した。華創資本(China Growth Capital)が出資を主導し、既存株主の同創偉業(Cowin Capital)と紅点創投(Redpoint)も追加出資した。2024年末のエンジェルラウンドと合わせると、調達額は累計1億元(約20億円)に迫る。今回の資金は技術・製品開発の強化、市場開拓、サプライチェーンの構築に充てられる。
湃特納機器人は、建設ロボット大手の博智林機器人(Bright Dream Robotics)でCEOを務めた王克成氏によって2023年に設立された。王氏は「今の建設ロボットは格段に使いやすくなった。メーカーから長期研修を受けなくても、現場の作業員が扱えるようになっている」と説明する。
建設現場では、危険かつ負荷の高い作業が多い上、人手不足と人件費高騰が顕著で、建設ロボットへの需要は急速に拡大している。近年は人工知能(AI)技術の進化に加え、主要部品の価格が低下したことに伴い、建設ロボットが実際の現場に投入される事例も増えている。湃特納機器人は、建設工程の中でも床タイル敷設と設計図通りの 線を引く「墨出し」に特化し、それぞれに対応した2種類のロボットを展開している。
床タイル敷設ロボットは、敷設工程やパラメーターを最適化することで、タイルと下地の隙間を防ぎ、均質で高品質な施工を実現する。作業効率は手作業の5~6倍に達する。例えば米国では、タイル職人の人件費は1日あたり数百ドル(数万円)になるが、同社のロボットを導入すれば半年ほどで導入費用を回収できるという。これまでに同ロボットが施工した床面積は約10万平方メートルに達している。
もう一つの主力製品、スマート墨出しロボットは汎用性が高く、構造から設備、内装まで設計範囲を100%カバーし、誤差±2ミリという高精度の墨出しを全自動で行う。
2025年、シンガポールの建国60周年の記念イベントでは、湃特納機器人は数多くの国際ブランドを抑えて、自動ライン引きロボットのプロジェクトを受注。100メートル×80メートルを超える巨大で複雑な図案の描画に成功した。
同社は中国国内でテストを繰り返し、雨天や高湿度など厳しい環境下での安定性や信頼性を検証した。実際の施工では、数日かかると見込まれていたライン引き作業をわずか5時間で完了し、その後の手作業による塗装作業の負担やミスを低減して、発注側からの高い評価を得た。
ロボットの意思決定を担う「大脳」について、同社は複数のセンサーを統合した環境認識技術と仮想環境でトレーニングするクラウドプラットフォームを独自に開発し、実際の施工現場から収集したデータをもとにロボットをトレーニングすることで、性能の向上を図っている。運動制御を担う「小脳」の部分には、視覚・運動統合制御モデルや高負荷に対応したロボットアーム、高精度の光学測定センサーなど、業界最先端の技術を組み込んだ。
今年半ばに本格的な海外進出を開始し、すでに1000万元(約2億円)を超える受注を獲得している。欧州や北米、中東などで納品を始めており、各地域で代理店ネットワークを構築することで、現地顧客が迅速にサービスを受けられる体制を整えている。
今後、ロボット製品のラインアップを拡充し、建設現場のライフサイクル全体に対応できるAIロボットのリーディングカンパニーを目指す方針だ。
*1元=約22円、1ドル=約155円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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