中国企業、100%再生コットンの量産化に成功。「4分の1」の価格で、小ロット対応も

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世界の繊維廃棄物が年間数万トンに上る中、中国のテック企業が環境問題の解決に取り組んでいる。「REGROWBLU」ブランドで再生繊維を手がける「叁原生態科技(Sanyuan Ecological Technology)」は、独自の技術によって繊維廃棄物の95%をリサイクルすることができ、世界で初めて100%再生繊維コットンの量産化を実現した。

再生コットンの製織技術を開発

繊維産業は世界で2番目に環境負荷が大きく、二酸化炭素(CO2)排出量は全産業の10%を占める。ジーンズ1本を製造し廃棄するまでの過程で消費される水は約3800リットル、CO2排出量は33kgを超える。環境保護の意識が高まる中、世界の繊維廃棄物のリサイクル率は22%未満で、繊維への再生が繰り返される割合は1%に満たない。

再生ポリエステルの開発が進む一方、再生コットンは糸の強度や品質の低さが課題とされてきた。同社のチームは3年をかけ、重さにして1万トンを超える試験や3000品目以上の試作を経て、ついに100%再生繊維コットンの開発に成功、「Δ42」と名付けられたデニム生地の量産化を実現した。

この生地は中国計量認証(CMA)機関の測定によって、破断強度や染色堅ろう度などの指標がバージンコットンと同等であることが確認されている。「Δ42」でジーンズを1本製造する際に削減できるCO2排出量は約6.3kg、ニレの成木1本の年間CO2固定量に相当するという。

コストと最小発注数量を低減

革新的な技術の開発は事業の出発点に過ぎず、コストと最小発注数量が収益化のカギとなる。従来の再生繊維生地は高価なうえ、最小発注数量が数万ヤード(数万メートル)に上ることもあり、中小企業が利用するのは難しかった。

独自開発のスマート織機「Fs-8」で製造工程の効率化を図り、再生繊維生地の価格を1ヤード(約90センチ)当たり200元(約4400円)から45元(約990円)に、最小発注数量を500ヤード(約460メートル)に下げた。2025年9月に第二工場が稼働したことで、生産能力は年間600万ヤード(約550万メートル)に達し、最小発注数量は300ヤード(約270メートル)まで下がる見込みだ。

顧客は同社が導入したミニアプリを通じて、わずか225元(約5000円)で5ヤード(約4.6メートル)のサンプルを購入でき、最短2週間で納品される。このフレキシブルな直販モデルによって購入の手続きが簡略化され、中小メーカーでも再生繊維生地を手軽に試せるようになった。

「REGROWBLU」の100%再生繊維コットン

一般消費者向け事業にも着手

叁原生態はこれまで、国際的なラグジュアリーブランドや日用品ブランドからのODM(受託開発)事業が売り上げの柱だった。現在は直販モデルによる中小メーカー向けの事業も展開している。2024年の売上高は5000万元(約10億円)を超え、3年連続で前年比110%以上の成長を記録した。

また、エンジェル投資家と共同でサーキュラーデザインブランド「ODEUXPLAN(永続計画」を立ち上げ、ミニアプリをリリース、一般消費者が再生繊維を使った衣服を直接購入できるようにした。それぞれの製品には固有のIDが付けられ、使用日数とカーボンフットプリントが記録される。使用期間が長いほどリサイクル時の引き取り価格が高くなり、消費者は製品をメーカーに売り戻すことで、製品購入時の割引クーポンを取得できる。

サーキュラーデザインブランド「ODEUXPLAN(永続計画)」のミニアプリ

世界で脱炭素化が進む中、EUと中国は繊維の循環利用を促進している。中国政府は「繊維廃棄物の循環利用の加速に関する実施意見」で、2030年までに繊維廃棄物の循環利用率30%、再生繊維生産量300万トンの達成を目標に掲げた。

同社は消費前および消費後の繊維廃棄物をカバーするリサイクルシステムを構築済みで、将来的には第三工場を拠点に繊維の分類から処理、再生に至る全工程を網羅し、中国全土にとどまらず海外での事業展開も目指す。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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