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中国四川省成都市にある玩具メーカー、四川西柚潘達科技の生産工場では、専門のスタッフが特製の小さなくしを手に、ジャイアントパンダのリアルな等身大ぬいぐるみ「花花」の額の毛を優しく整えていた。50余りの工程を経て丹念に作り上げられた成都生まれの「花花」が、間もなく世界各地へ送られるところだった。
同社の創業者である劉滔氏は、故郷への思いと実際のニーズの両方が起業の動機になったと紹介。「小さいころからパンダが至る所にいる成都の都江堰(とこうえん)で暮らしてきたので、パンダには自然と強い関心を抱くようになった」とした上で、「最初は、外国の友人に故郷を代表する質の高い贈り物をしたいという気持ちと、パンダと『抱き合いたい』という娘の願いをかなえてあげたいという思いからだった」と語った。

劉氏はまずチームを率いて、リアルさを追求したパンダのぬいぐるみの研究開発と制作に着手。中国の伝統的な毛皮工芸と、内部フレームなどを使い表面を細部までリアルに表現する革新的な「内彫技術」を採用することで、パンダの形状を再現すると同時に、「触感」や「見た目の質感」「鳴き声」の再現、さらには「温厚だけれど力強く、どこか愛嬌がある」というパンダの特徴を際立たせるところまでこだわった。
体毛にはオーストラリア産の羊毛を採用し、本物の毛が持つ粗い感触を再現した。また、3Dモデリングで骨格を構築し、「内彫師」が特殊な詰め物を用いて「肉付け」を行った。劉氏によると、細部までリアルさを追求するためにパンダの鳴き声を収集・分析してチップに収録し、「手のひらの肉球をそっとつまむだけで、『ウンウン』と鳴き声で反応する」のが最大の特長だという。
また、体型や外見に加え、まつげや鳴き声といった細部にもこだわることで、ぬいぐるみ1体1体にそれぞれの個性が生まれるのだという。
同社は現在までに、リアルなパンダのぬいぐるみを計6万体余り特注生産してきた。そのうち「花花」シリーズ製品が約3分の1を占めており、販売される「リアルなパンダのぬいぐるみ」3体に1体が「花花」となっている。海外では米国と日本での売れ行きが最も良く、2カ国だけで海外総売上の約70%に上る。
今年下半期に同社は成都市の周辺により大きく、より充実した新工場を建設した。これにより、生産能力は3倍になる見込みだという。
劉氏は、引き続き「リアルさ+文化」という製品開発アプローチをさらに発展させ、高級パンダギフトブランドを打ち出す計画を立てている。また、「パンダ王国」博物館を設立し、パンダ関連知的財産(IP)を芸術や科学技術と組み合わせて多様なパンダの魅力を世界に発信する構想も持っている。【新華社成都】
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