近くにいる人と出会えるマッチングアプリ「陌陌(MOMO)」、三度目の正直で海外再進出

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

近くにいる人と出会えるマッチングアプリ「陌陌(MOMO)」、三度目の正直で海外再進出

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

近くにいる人と出会えるSNSアプリ「陌陌(MOMO)」が再び海外市場に進出した。海外版は「Olaa」としてすでにローンチしている。

運営元の「陌陌科技(Momo Technology)」は今年第3四半期に海外プロジェクトを立ち上げ、数十人規模のチームで運営しているという。

36Krの取材によると、Olaaは主に東南アジア市場をターゲットとしている。設立8年、陌陌は常に海外進出を計画してきたが、その道は順調ではなかった。現在は多くのコンテンツ企業にとって海外進出が重要な成長戦略となっている。陌陌もLBS(位置情報サービス)に紐づけたマッチングアプリとして5年ぶりに海外再進出を図る。

海外進出、二度の挫折

陌陌科技は設立2年目の2012年、米国で陌陌の英語版アプリをリリースしたがヒットに至らず、ほどなくしてサービスを中止している。

2014年12月にはナスダックへ上場した。董事長兼CEOの唐岩氏は当時、サンフランシスコに支社を設立したと発表し、これを機に米国市場への再進出を宣言。ほぼ同時にリリースされたアプリ「Blupe」は本国版の陌陌をベースに、米国ユーザーの需要によりマッチするよう変更を加えたものだった。

Blupeの使用画面(インターネットからのキャプチャ画像)

AppStoreでリリースされたBlupeはFacebookアカウントに紐づけてログインする方式で、メインページでは位置情報に基づいたユーザーグループの情報が閲覧できる。ユーザーの現在地から60マイル以内のグループに参加できるルールで、1グループにつき25人までの参加制限が設けられていた。また、本国版では個人同士でもマッチングできる仕組みだが、米国版ではこれを採用しなかった。

しかし、昨年第1四半期の決算発表で明かされたのは、本国版アプリ陌陌の機能別DAU(デイリーアクティブユーザー)で最も多かったのが「近くの人を探す」機能で、「グループ」機能は5位だった。グループチャットは完全に時代遅れの機能だということが判明したのだ。

これはほぼBlupeの終焉を示したと言ってよい。Blupeの公式サイトやSNS公式アカウントはひっそりと姿を消した。

海外戦略の刷新

それから5年を経てリリースされたOlaaもLBSをベースとしたマッチングアプリだ。メインページでは付近にいる人の情報が閲覧できる。興味を持った人には直接あいさつができ、相手から返信があればマッチング成立だ。さらに、Olaaはプライバシーの保護に関しても十全に配慮しているという。

以前は米国を主なターゲットとしたが、Olaaの主戦場はインドネシア、フィリピンなどの東南アジアだ。米アプリ分析サービスApp Annieによると、Olaaは今年10月にリリースされて以来、ユーザーの在住地はインドネシアが9割以上を占めている。

Olaaは新興国をターゲットにし、個人と個人を結びつける機能をメインとした点が以前との違いだ。この「近くの人を探す」機能以外に、人気の「ライブ配信」機能も近々加わるかもしれない。過去の失敗を糧に、今回の海外戦略はこれまでとはまったく異なるものとなっている。

目標はアジアの6億人

陌陌の海外進出は、ユーザー数と売上高の伸びが鈍りはじめたことに起因する。

今年第2四半期、陌陌の純売上高は41億5260万元(約650億円)で、これまで維持してきた3ケタ成長から前年同期比32%増にとどまった。当期純利益は7億3180万元(約110億円)で、前年同期の7億5020万元(約120億円)から下がっている。

月間アクティブユーザー(MAU)は今年6月時点で1億1350万人で、前年同期の1億800万人からの伸びは芳しくない。

これまで陌陌の収益源は会員費やゲームが主だったが、ライブ配信を導入してからは収益の8割が投げ銭となっている。ただし、ライブ配信市場全体がすでに減速傾向に入っており、今後の収益や新規ユーザー獲得に影響してくるだろう。

また、見知らぬ人とのマッチングという事業形態は、政策や関連規制の動向如何で商業化に影響が出る可能性もある。さらに、昨今人気の短編動画アプリも陌陌のユーザーや収益を奪っている。つまり、海外進出は新たなユーザーや成長を開拓することが目的だといえよう。

唐岩CEOは今年第2四半期決算後のカンファレンスコールで「オープンSNSやエンターテイメントはまだ大きな成長の余地がある。中国であろうと海外であろうと、我々は多くの成長機会を見てきた。中国を含めたアジア全体で6億ユーザーは獲得できるのでは」と自信を示している。また、「陌陌と探探(Tantan:陌陌の最大の競合で、陌陌が昨年買収済)のMAUを合わせれば、6億のうちすでに4分の1は獲れている」としている。
(翻訳・愛玉)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録