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拡張現実(AR)の眼鏡型端末で世界トップシェアを誇る、中国発スタートアップ企業「XREAL(エックスリアル)」は東京都内で開催した「XR会議2025」で、最新モデル「XREAL1S(ワンエス)」を来年1月に日本で発売すると発表した。価格は6万7980円(税込)で12月1日から予約を受け付けている。AIで2Dコンテンツを3Dに変換する世界初の機能を搭載しており、ギーク層(テクノロジー愛好家)から一般ユーザーに普及拡大を狙う方針を表明した。

日本市場で存在感を拡大
XREAL日本法人の尾崎大輔PRマネージャーは、2025年に日本市場で前年比40%超の売上成長を記録したと明らかにした。同社によると、インターネット上の話題量では日本国内ARグラスブランドにおける80%のシェアを獲得し、メディア掲載数は5000件を突破したという。Amazonの検索ボリュームでも業界の80%のシェアを達成し、Google Playでの検索量が過去最高を記録するなど、あらゆる指標で市場をリードする結果となったと強調した。
2025年1月にXREAL Oneを出し、7月にはXREALOne Proを発表。業界初のX1チップを搭載したARグラスとして、空中に画面を固定できるネイティブ3DoF、3ミリ秒の低遅延、OSD(オンスクリーンディスプレイ)機能を実装し、市場で存在感を高めた。また、米GoogleのXRデバイス向けプラットォーム「Android XR」に対応するARグラス「Project Aura」を、2026年に日本でも発売する意向を示しており動向に期待感が高まっている。
XREAL、新型ARグラス「One Pro」日本投入 米Googleとの千人計画「Project Aura」でXR覇権狙う
ギーク狙いから普及段階へ
XREALは2026年に向けて、ブランド戦略と製品戦略という二つの核となる戦略を打ち出した。ブランド戦略では、マーケティング、販売、サービス、コンテンツ開発会社、IT企業との連携を強化し、日本市場に最適化された製品とARの価値を提供する。これまで以上に日本のユーザーに寄り添った展開を目指すという。

最も注目すべきは製品戦略の転換だ。尾崎氏は「これまでのARグラスは、ギークの方、ガジェット好きな方をメインに販売していたが、これからは一般のユーザーに普及モデルを届けたい」と述べた。グラス本体については「ギークから一般ユーザーへ、ハイエンドから普及モデルへ」、アクセサリーについては「室内から屋外へ、複雑からシンプルへ」という方向性を示した。

世界初のAI搭載2D→3Dリアルタイム変換
この戦略を体現する新製品がXREAL1Sだ。高天夫プロダクトマネージャーは「世界初」の技術を搭載した製品として紹介した。製品名の「S」には「スペシャル(特別)」と「スーペリア(卓越)」という二つの意味が込められているという。
XREALは、ARグラス未体験者と既存ユーザーの両方から聞いた「二つの声」に応える形で製品開発を進めた。
ARグラスの未体験者からは「大画面が欲しいが、ソフトや別付けのホストデバイスが必要で体験が難しい」「目の前に貼り付いた画面が頭の振動で揺れて酔いやすい」という声があり、既存ユーザーからは「もっと広い視野角が欲しい」「本当の空間体験がしたい」という要望が寄せられていた。
こうした要望に応えようとしたのがXREAL1Sで、X1チップによるAI処理により、2D映像から3Dへのリアルタイム変換機能が搭載された。従来、3D映像を楽しむには映画館で専用メガネをかけるか、特殊なコンテンツが必要だった。しかし、1Sは、あらゆる2D映像をリアルタイムで分析し、3D化することができる。ソフトや追加デバイスは一切不要で、スマートフォン、タブレット、ゲーム機(Nintendo Switchなど)の映像をワンタップで立体化できる。高氏は「すべてワンタップで3D化、立体化できるとしたら、これは結構ワクワクしますよね」と語った。
スペック面でも視野角は52度で、32:9の超ワイドスクリーンにも対応。表示品質は解像度を向上させ、明るさもOne Proと同等の700nitにアップグレードした。音響面ではBOSE製サウンドシステムを搭載し、没入感をさらに高めている。
デザイン面では、新色の「サイレントブルー」を採用し、ドイツのTÜV認証で五つ星の「目に優しい」評価を取得。3段階の調光機能も搭載し、オフィスなどの明るい環境でも快適に使用できる。また、グラス内部でメニュー操作が完結し、各種設定を直接調整できるようになっている。

XREAL1Sは、ARグラス業界にとって転換点となる可能性を秘めているとみられる。2026年、XREALが目指す爆発的普及の段階を意味する「iPhone モーメント」。本当に一般ユーザーの日常に溶け込むのか。その答えは、1月下旬の製品発売後に明らかになる。
(36Kr Japan編集部)
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