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中国では2026年、電気機械式ブレーキ(EMB)の「量産元年」を迎えることが期待されている。サプライチェーン関係者の情報によると、理想汽車(Li Auto)、小鵬汽車(Xpeng Motors)、奇瑞汽車(Chery Automobile)などはすでにサプライヤーの選定を終え、関連車種の開発を並行して進めており、EMB搭載の初の量産車を今年中に市場に投入する見込みだ。
EMBは「ブレーキ・バイ・ワイヤ」の一種であり、従来の油圧システムに代わり、電気モーターでブレーキを駆動して制動力を発生させる。システムの構造がコンパクトで、制御性や応答性に優れているほか、高度な自動運転が求める高い制御性能を備えている。業界の動向を見ると、ブレーキやステアリング、加減速など車両全体を電気信号で制御する「シャシー・バイ・ワイヤ」が高級EVの開発競争の決め手になりつつある。
相次ぐ新規参入
シャシー・バイ・ワイヤの市場規模は2030年までに1500億元(約3兆3000億円)に達すると予測されている。この巨大市場を狙い、既存のメガサプライヤーだけでなく、ここ数年で多くの中堅・新興企業が参入を果たした。
EV最大手の比亜迪(BYD)、スマートフォン大手・小米集団(シャオミ)傘下の小米汽車(Xiaomi Auto)、蔚来汽車(NIO)、ファーウェイ(華為技術)なども、シャシー・バイ・バイヤ開発への投資を継続的に拡大している。
BYD傘下で駆動用バッテリーを手掛ける弗迪科技(FinDreams Technology)は、すでにワンボックスタイプのブレーキ・バイ・ワイヤの量産を実現し、次世代EMBの開発にも取り組んでいる。小米汽車はブレーキ・バイ・ワイヤ、ステア・バイ・ワイヤ、フルアクティブサスペンションの先行開発を並行して進めている。NIOは2025年にリリースしたフラッグシップセダン「ET9」で、ステア・バイ・ワイヤとフルアクティブサスペンションの量産化を業界に先駆けて実現し、関連法規の改訂に向け量産の参考情報を提供している。
法整備も進んでいる。2025年5月に公布された強制性国家標準「乗用車用ブレーキシステムの技術要件及び試験方法(GB21670-2025)」が、2026年1月1日に施行された。同標準ではEMBシステムの技術規格が初めて明確化されており、業界内では「EMBが商用化フェーズに移行するための法環境が整った」と捉えられている。
新旧勢力による主導権争い
世界的には、ドイツのボッシュ、コンチネンタル、ZFグループなど大手自動車部品メーカーが先行してEMB開発に取り組んできた。なかでもZFグループは500万台規模の受注を獲得したと発表した。中国国内市場では勢力図が急速に塗り替えられつつある。
従来型のティア1である伯特利(Bethel Automotive Safety Systems)は、油圧ブレーキからワンボックス型ステア・バイ・ワイヤ、さらにEMBまでラインアップを整えた。自社開発を強みとするBYDや長城汽車も量産化を加速させている。さらに、2023年設立の新興メーカー「座標系智能(Orient-Motion)」は、EMBに特化した一点突破の戦略を掲げ、アセットライトな経営とスピード感を武器に急速に市場に食い込んでいる。
座標系智能は設立からわずか2年ながら、すでに4回の資金調達を実施しており、生活関連サービス大手の美団(Meituan)が第2の株主となっている。攻めた価格設定で、瞬く間に多くの自動車メーカーから注目されるようになった。業界関係者は「座標系智能はEMBの価格破壊を引き起こした」と指摘、技術面で決定的な差がついていない状況では、コストが勝敗の鍵を握ることになる。
EMBの量産競争
とはいえ、EMBはまだ立ち上がり段階にある。量産初期段階のコストは従来型ブレーキシステムに比べ、1台分当たり約1000~1500元(約2万2000~3万3000円)程度高くなると見込まれる。しかし量産規模が拡大し、システムの標準化が進めば、開発期間の短縮やコスト面でメーカー側に長期的な利益をもたらすことが期待できる。
油圧システムを使わないことで部品数が減り、組立工程が簡素化されれば、量産拡大とともに製造コストを約30%削減できる可能性がある。また、完全に電気信号で構築されたアーキテクチャはソフトウエア定義型車両(SDV)との親和性が高く、オーバー・ジ・エア(OTA)アップデートややマルチドメインの協調制御も容易にする。
現在、中国企業が手掛けるEMB技術の多くは、安全面や性能面で同質化する傾向にある。業界関係者は、いち早く量産を実現したメーカーが、次世代の業界標準策定を主導し、先発者優位を確立すると指摘する。中国におけるEMBの量産競争は、今年いよいよ正念場を迎える。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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