人気SF小説「三体」のアニメ版予告編を「ビリビリ動画」が公開 本篇は2021年に配信予定

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中国の大手動画共有サイト「ビリビリ動画(bilibili)」は2019年11月中旬に上海で中国制作アニメタイトル発表会を開催した際、世界的にヒットしたSF小説「三体(The Three-Body Problem)」のアニメ版予告編を初公開した上で、2021年にビリビリ動画で本編を配信する計画を明らかにした。

2019年半ばに着手されたアニメ版「三体」の制作は、版権を持つ「三体宇宙(The Three-Body Cosmos)」が初めて取り組むプロジェクトとなる。配信プラットフォームはビリビリ動画、制作は「芸画開天(YHKT Entertainment)」が担う。

これまでに「三体」という大型IPのアニメ版を制作したのは芸画開天だけではない。「神游八方(アニメ制作者である李圳宜氏のハンドルネーム)」氏のチームが制作した「我的三体(My Three Body)」は、2018年にシーズン2を完結させ、多くのファンを獲得した。今回の発表会では「我的三体・章北海(登場キャラクター)伝」の予告編も公開され、本編は2020年に配信予定で、その版権は三体宇宙が単独所有する。

三体宇宙は、ゲーム開発を手掛ける「游族網絡(Youzu Interactive)」の関連会社「上海游族文化伝媒(游族影業、Yoozoo Pictures)」が社内で立ち上げた「三体」IP開発チームだ。

游族影業は2014年、中国A株に上場する游族網絡の創業者兼CEOである林奇氏と、現・游族影業CEOの孔祥照氏が共同で設立。林奇氏は游族網絡の株式32.92%を保有している。

「我的三体」シリーズは、神游八方氏がサンドボックスゲーム「Minecraft」をベースに創作したアニメで、口コミによって人気化した後に游族網絡が吸収。游族網絡の資金的支援のもと、制作チームはシーズン2から「三体」の原作を改編する権利を取得し、さらにクオリティの高い3Dアニメへと発展させた。

「我的三体」は2014年にシーズン1の配信を開始。シーズン1とシーズン2はいずれも、書籍・音楽・映画などのレビュー投稿コミュニティサイト「豆瓣(Douban)」で9.5点という高評価を獲得した。「原作のファンがいること」「原作に忠実なこと」がこのアニメの大きな魅力だ。配信済みで口コミの評価も高い「我的三体」の存在は、まだ予告編しか公開されていないアニメ版「三体」にとって大きなプレッシャーとなるだろう。

画像提供:豆瓣

さらに不安な点は、版権を持つ游族網絡が5年間で3度もつまずいていることだ。

游族影業は2014年9月、映像監督の張番番氏から小説「三体」シリーズの版権を買い取り、「映画とゲームの連携」という事業戦略のもと、原作のゲーム化や映像化に取り組んできた。

2015年には游族網絡がゲーム版「三体」を開発する計画を明らかにしたが、これまでに「三体」関連のゲームタイトルは1本もリリースされていない。2016年に上映が見込まれていた映画版「三体」も延期され、今のところ公開時期は未定だ。

一方、游族影業は2016年にテレビドラマ版「三体」の制作を国家広播電影電視総局に申請したことが明らかとなっている。その後2019年5月に全24話の制作が認可されたことで、テレビドラマ版は2020年にも放送される可能性がある。

「三体」の原作が持つ奥深さと広がりは、体系的なIPを確立するための源泉だ。游族網絡が進める大IP戦略に終わりはないが、マイルストーンはあるだろう。問題は、著作権の使用期間が最長10年しかなく、游族網絡が「三体」を改編する権利は間もなく期限を迎えることだ。アニメ版「三体」が完成すれば、同作品は游族網絡にとってのマイルストーンとなり、急場をしのぐことが可能となる。
(翻訳・神戸三四郎)

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