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2026年1月に米ラスベガスで開催されたテクノロジー見本市「CES 2026」で、「Sharpa(シャーパ)」と名乗る謎のスタートアップが会場の注目を一身に集めた。初公開した人型ロボット(ヒューマノイド)「Sharpa North」は、人間相手に卓球をこなすだけでなく、折り紙で風車を正確に作り、さらにはインスタントカメラ(ポラロイド)を巧みに操作することまでできる。シャッターボタンを押し、レバーを引く一連の動作は、まるで人間のようにスムーズだった。
Sharpaは2024年末に設立され、シンガポールを拠点とする。2025年5月に米アトランタで開かれた「国際ロボティクス会議(ICRA)」では、すでに多指ハンドの試作機を展示し、業界に衝撃を与えていた。人の手と同程度の大きさで、各指先に1000個の触覚センサーを内蔵。卵の殻を剥く、ハサミを使うといった極めて精密な作業を実現していた。

「手に入らない」幻のデバイス
しかし、当時のSharpaは製品の完成度とは対照的に、極端なまでに低姿勢だった。
ある投資家はこう明かす。 「製品の完成度は圧倒的で、当時われわれは何とかして投資の話を持ちかけようとしたが、相手は終始表に出てこなかった。その時点では、会社の舵を取っている人物が誰なのかさえ、誰も知らなかった」
この「ミステリアスさ」はビジネスの現場にも及んでいる。複数の関係者によると、1台約5万ドル(約790万円)とされる多指ハンド「Sharpa Wave」に強い関心を示しながらも、「欲しくても手に入らない」状況が続いているという。
あるアルゴリズム開発企業の創業者は、2025年末にSharpa Waveのハードウエアを調達してモデル連携の開発を進めようとしたが、すでに在庫がないと告げられた。実験を行うには、Sharpaの上海オフィスに赴き、社内設備を使うしかなかったと不満を漏らしている。

Hesai 三銃士が自ら参戦
Sharpaをめぐる憶測は途切れることがなかったが、最近になって中国ビジネスメディア「晚点(LatePost)」などが重大な事実を報じた。Sharpaの共同創業者は、世界的な車載LiDAR大手、禾赛科技(Hesai Technology)の「鉄の三角形」と呼ばれる李一帆CEO、向少卿CTO、孫恺チーフサイエンティストの3名だったのである。
現在、車載LiDAR分野で世界シェア首位を誇るHesaiは、ロボットの新潮流の中でも、最重要サプライヤーの一社となっている。Unitree(宇樹科技)の人型ロボットや、VITA(維他動力)のコンパニオンロボットなど、有力メーカーの多くがHesaiのセンサーを採用している。

Sharpaの誕生は、李一帆とその創業チームが、もはや「部品サプライヤー」にとどまることに満足していないことを示している。3人の経歴を見れば、3人の経歴を紐解けば、ロボティクスはむしろ「本流」と言える。
● 李一帆CEO:清華大学・精密計測機器学部卒、米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)でロボット運動 制御の博士号を取得
● 向少卿CTO:清華大学・精密計測機器学部卒、スタンフォード大学で2つの修士号取得、元iPhoneのシステム統合エ ンジニアで、製品実装工程に精通
● 孫恺チーフサイエンティスト:上海交通大学・熱エネルギー工学専攻卒、スタンフォード大学で機械工学博士号を 取得
「LiDARから人型ロボットへ。この両者を貫く核心は『空間認識』にある」。あるベンチャーキャピタルのシニアアナリストは、業界で噂されていた両社の関係性を「空間認識技術」こそが結びつける手がかりだったと指摘する。
グローバル展開+中国サプライチェーン

関係者によると、Sharpaは現在、2拠点体制を敷いている。本社はシンガポールに置きつつ、Hesaiの「地盤」である中国・上海にも拠点を構えている。
この配置の狙いは明確だ。上海では中国国内の成熟したサプライチェーンとトップレベルの人材を活用し、シンガポールは海外事業および国際協力の窓口として機能させる。
背景には、Hesaiを取り巻く厳しい国際情勢もある。2024年1月以降、Hesaiは米国国防総省から「中国軍事企業」リストに指定され、複数回の訴訟を経たものの、2025年7月に地方法院で敗訴が確定した。
LiDAR事業の海外展開が制約を受ける中で、Sharpaのグローバルな組織構造は、Hesaiが掲げてきた「グローバルビジョン」の継承であると同時に、より柔軟かつ高度な技術領域で再起を図るための新たな舞台とも言える。
センサーから「脳を持つ」多指ハンドへ——Hesaiの「三銃士」は、人型ロボットの時代において、より大きな野心を帯びた“次元の違う戦い”に踏み出そうとしている。
単なる「センサーの目」から、エンボディドAI(身体性を持つジンコ)へ。Hesaiの三銃士は、人型ロボットという次世代の戦場において、さらに巨大な野心を燃やしている。
(翻訳・編集:36Kr Japan編集部)
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