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「ハイブリッド車か純電気自動車(BEV)で何かオススメはないかしら?」シンガポールの人気歌手ステファニー・スンが中国版ツイッターの微博(Weibo)でつぶやいたときのことだ。「吉利汽車(Geely Automobile)」「東風日産乗用車(Dongfeng Nissan Passanger Vehicle)」「蔚来汽車(NIO)」「威馬汽車(WM Motor)」など中国の名だたるメーカーが彼女の投稿にコメントを寄せ、自社製品を推薦した。30社以上がひしめく中国の新エネルギー車業界が苦境に陥り焦りを感じている様がみてとれる。
「インドで越冬」をもくろむ中国企業
中国では新エネルギー車の購入補助金政策が先細りする中、販売台数が目立って減少している。昨年10月、中国における新エネルギー車の生産台数は前年同期比35.4%減の9万5000台、販売台数は同45.6%減の7万5000台だった。米EV大手のテスラが中国進出を進めていることもあり、中国メーカーは対応策に追われている。
このままただ死を待つのか、生き残りをかけて勝負をかけるのか。中国企業は後者を選んだようだ。
彼らが活路を求めたのは、マレーシア、タイ、インドネシア、そしてインドだ。
中国製新エネルギー車の先駆者BYD(比亜迪)は、インドでEVバス1000台を受注した。同社は2013年にインドへ進出して以来、EVバス製造でトップの座を堅固にし、80%のシェアを占めるようになっている。現在のインドは全土で300万台のバスが必要だが、保有台数はまだ170万台で、130万台分の需要が存在する。
BYDはインドの提携企業「Olectra Greentech(旧社名Goldstone Infratech)」と2021年3月までに年間5000台のEVバスを生産することで合意している。
EVバスの分野ではBYD以外に「北汽福田汽車(Beiqi Foton Motor)」もインド市場の重要な一角を占める。同社は2017年にミャンマーで天然ガスを燃料とするCNGバスを1000台、昨年にはエジプト政府にBEV50台、インドでEVトラック70台を納車しており、都市交通のモデルチェンジに寄与している。
インドではEVへの転換が急務
インドでは2017年、エネルギー相(当時)のピユシュ・ゴヤル氏が「2030年までにインド市場では化石燃料車は1台も販売されなくなる」と宣言している。インド政府は同年までに全ての新車をEVにする目標を掲げ、その補助金として3年間で1000億ルピー(約1500億円)を投じる計画だ。また、2026年4月までにレンタカー会社の車両の4割をEVにするとの目標を立てている。
世界保健機関(WHO)が2018年に発表したデータでは、世界で最も環境汚染の深刻な上位20都市うち14都市がインドだ。インドにとって新エネルギー車への転換は急務なのだ。
インドではタタ・モーターズ、マヒンドラ&マヒンドラといった地元メーカーが新エネルギー車産業に本腰を入れ始めた。政府向けにEVを販売するとともに一般市民向けにもEVバスやEVトラックを打ち出していく。両社は海外メーカーとの提携も求めており、近隣の中国にチャンスが巡ってきた。
インドEV市場における中国企業の戦略
インド市場が持つ潜在力は巨大だが、特殊な市場でもある。海外企業がインド市場で一席を占めるには現地化が必須だ。
BYDや福田汽車の例でも見られる通り、じっくりと腰を据えて事業を育てていくパターンや合弁企業を立ち上げて分業で進めていくパターン、大型のEVバスを手がけるパターンや小型のEVを手がけるパターンなど、さまざまなアプローチがある。また新エネルギー車市場は政策に誘導される性質が強いため、政策による引き締めが市場に与える影響を鑑みて、常にプランBを用意しておかなければならない。
市場戦略としては企業同士で提携してウィンウィンを狙うことが市場価値に結びつく。世界各地から集結した同業者が手を結び、揃ってインド市場を開拓していくのだ。昨夏の報道によると、テスラ、BYDおよび中国のバッテリー製造大手「CATL(寧徳時代)」はインド政府が5000億ルピー(約7600億円)を投じて建設を計画する大型リチウムイオンバッテリー工場に食指を動かしているという。インド政府は輸出関税の減免を行うことで40~50GWh(ギガワット時)分のバッテリーを販売する目標だ。
無論、中国企業は続々とインドに進出してくる欧米企業とも競争することになり、厳しい戦いを覚悟することになる。
(翻訳・愛玉)
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