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2025年、ガチ中華関連で飛躍したのはなんといっても「マーラータン(麻辣湯・麻辣燙)」だろう。中国四川省発祥で花椒(ホアジャオ)と唐辛子の痺れと辛味が特徴のスープに麺類(春雨、乾麺やライスヌードルなど)や肉、野菜など好きな具材を自由にカスタマイズできるのが魅力の料理だ。
2024年時点ですでに10~20代の女性を中心に流行の兆しを見せていたが、2025年にブームが爆発した。日本発チェーンの「七宝麻辣湯」、中国で6000店舗以上を展開する「楊國福」をはじめ、各ブランドが日本各地で出店を加速。
さらに中国・韓国系の新規参入、個人店の開業、セブンイレブンやバーミヤンなど日本の外食・小売り大手による商品化も相次ぎ、認知度は一気に広がった。数年前までは池袋や高田馬場といった「ガチ中華」密集エリアで見かける料理だったマーラータンは、今や地方都市の店舗でも列ができている。
マーラータン人気に火がついた頃から、筆者は「タピオカドリンクバブル」の歴史が繰り返されるのではないかと注視してきた。しかしマーラータンは、タピオカドリンクに比べると他ジャンルの料理にも取り入れやすいため、より大きなエコシステムに発展しつつある。


ガチ中華界の救世主になった⋯
タピオカドリンクとマーラータンの共通点は、手軽に出店できることだ。マーラータンは、スープさえ仕込めば客が選んだ具材を煮込むだけで提供できるため、通常の中華料理店に比べてオペレーションが簡単だ。料理人の腕もそれほど必要としない。タピオカドリンクがブームになったのは2018年。さくっと儲けられると見込んだ日本人や中国人がありとあらゆる場所に出店、メーカーや外食チェーンもタピオカ商品を多数開発し、2019年には原宿にタピオカランドなる施設までオープンした。
マーラータンも動き自体は似ている。コロナ禍から続いたガチ中華ブームが一段落し、店舗の淘汰が加速しているときに、韓国でマーラータンブームが起き、SNSを通じて日本でも流行り始めた。
在日中国人が集まる池袋、高田馬場、上野でガチ中華を営んでいた経営者たちはブームに気づくやいなや、マーラータン屋に鞍替えしたり、あるいは別の中国人に出資してマーラータン屋を出店させた。
スピード感をもって出店するというのは彼らの得意技だ。日本人の集客が期待できることから、出店範囲は新宿や渋谷、その先の私鉄沿線まで広がった。
人気が拡大すると、他ジャンルの飲食店もマーラータン風のメニューを出すようになった。牛丼チェーンのすき家は麻辣スープに牛肉が入った鍋を「牛・胡麻麻辣湯鍋定食」として販売している。もはやなんでもありの様相だ。


バブルのきっかけが韓国やSNSなので、定着したかどうかは?
各々がスピーディーに出店した結果、マーラータンを提供する店の数は増えすぎたようにも感じている。
若い女性が多く集まる新大久保は駅周辺だけでマーラータンの店が10店舗以上ある。
日本での流行は、中国文脈というよりも、韓国でのブームがSNSを通じて拡散された側面が大きい。そのため、客層も若い女性が中心だ。韓国トレンドやSNSの風向きが変われば、マーラータンも短命に終わったタピオカドリンクブームと同じ道をたどる可能性は否定できない。
日本の大手メーカーや外食チェーンによるマーラータンメニューは、大半が期間限定商品として販売されているため、大きな影響はなさそうだが、今がチャンスと各所で出店したマーラータン専門店は一気に淘汰される可能性もありそうだ。
個人的にはマーラータンは店舗が飽和に達し、ピークを超えたと考えている。今後しばらくは日本独自に進化した魔改造マーラータンでブームの延命を図り、エスニック料理のいちジャンルとして定着化していくフェーズに入っていくのかもしれない。
タピオカドリンクも「貢茶(ゴンチャ)」や「COCO」などのようにバブル崩壊後も生き残り定着しているチェーン店があるため、マーラータンブームが一服しても一部のチェーン店は日本にしっかり根付いていきそうだ。

(文:阿生)
東京で中華を食べ歩く会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。X:iam_asheng
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