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脳と機械を接続するブレイン・マシン・インターフェース(BMI)を手掛ける中国スタートアップ「階梯医療(StairMed=ステアメッド)」がこのほど、5億元(約120億円)の戦略出資を獲得した。アリババグループが出資を主導し、国投創合(SDIC Unity Capital)、テンセントなど既存株主の多くも参加した。この1年間に調達した資金は総額11億元(約250億円)に上る。
ステアメッドは2025年12月に、第2世代のハイスループット埋込型BMIシステム「WRS02」を発表。電極数は256チャネルに増加し、用途も従来の運動制御に加えて、言語機能の再建にまで拡大する。
2026年初めには、自社開発の手術支援ロボットを活用して、中国初となる256チャネルの埋込型BMIシステムの臨床試験を実施、脳の信号による機器操作やインタラクションの有効性を実証した。現時点では中国で唯一、国家薬品監督管理局が革新的医療機器向け優先審査の対象として承認した埋込型BMIとなっている。
創業者の李雪氏によると、半身不随の患者の脳にBMIシステムを埋め込み、訓練を重ねてもらったところ、カーソルのスピード調整など特定のタスクにおいて一定の優位性が示されたという。
同社は臨床現場への展開を加速しており、年内には患者約40人の登録および埋め込み手術の完了を計画している。この目標が達成されれば、年内にもイーロン・マスク氏が率いる業Neuralink(ニューラリンク)の臨床試験実施数(現時点で21例ほど)に迫り、場合によっては上回る可能性もある。
2026年はBMIにとって重要な転換点となりそうだ。3月に発表された中国の政府活動報告では初めて、BMIが重点的に育成すべき未来産業として位置づけられ、国家戦略として推進すべき産業体系へと格上げされたことが示された。
李氏と共に同社を創業した趙鄭拓氏は、次のように語る。「今後3~5年のうちに、BMIを用いた疾患治療の臨床的価値が、生活の質や就労能力の改善といった形で実証されるだろう。さらに5~10年で、消費者自身が選択する自由診療としての側面を持ち始め、人間の能力の限界に挑むようになる」
BMIの開発については、フレキシブル電極やシステムの構築、臨床試験による検証に加え、神経科学における脳研究の進度が、今後の技術開発の到達点を左右する重要な要素となる。
李氏は、データこそが主導権を握るうえでの鍵になると強調。それを踏まえて同社では、膨大な脳科学データをもとにBMI用基盤モデルを構築する計画を進めている。将来的には、事前学習済みモデルを活用することで、長時間のトレーニングを施す必要がなく、患者がすぐに使える高性能なシステムの実現を目指すという。
注目すべきは、アリババとテンセントにとって同社がBMI分野で最初の出資先となったことだ。両社は巨大テック企業としてマルチモーダルAIモデルや計算基盤、スマートデバイス、エコシステム構築におけるノウハウを蓄えており、今後これをステアメッドのハードウエア技術や臨床応用経験と組み合せれば、次世代のBMIシステムと応用エコシステムの形成につながる可能性が高い。
ステアメッドは当初から、BMI技術を一般消費者向けに広げる構想を描いていた。李氏は「これまで人間は脳で手足を動かしてきたが、将来はBMIシステムを使って外部機器を操作できるようになり、これまでの人間の能力を大きく超えた進化を遂げる見込みがある」と語る。
BMIシステムの臨床応用を加速させる一方で、神経制御の分野でも積極的な製品開発を進めている。世界トップクラスのフレキシブルマイクロ電極技術を活用し、脳へのダメージが極めて少ない閉ループ型深部脳刺激システムを開発した。すでに臨床研究で4例の埋め込み手術を終え、パーキンソン病やてんかんなどに対する画期的な治療法として、2027年の臨床試験開始を予定しているという。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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