世界初のカメラ搭載AIイヤホン、シードで約70億円調達 「スマホの次」を狙う

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世界初のカメラ搭載AIイヤホンを開発したスタートアップ「光帆科技(LightSail Technology)」がこのほど、シードラウンドで2度にわたる追加の資金調達を完了した。中国パソコン大手のレノボ・グループとEV大手の小鵬汽車(Xpeng Motors)系ファンドの星航資本(Rockets Capital)が主導し、音響機器メーカーの韶音科技(Shokz)や歌爾股份(Goertek)など複数の著名機関も参加した。シードラウンドでの累計調達額は約3億元(約70億円)に達した。

創業からわずか1年という短期間ながら、光帆科技はAIイヤホンとスマートウォッチを組み合わせることで、「スマートフォンに次ぐ第2のメインデバイス」という新たなコンセプトを提示している。

単一機能型AIデバイスからの脱却

光帆科技は2024年10月に設立された。創業者の董紅光氏は、家電・スマートフォン大手シャオミ(小米)の初期メンバーの一人として知られ、同社の独自OS「MIUI」の立ち上げにゼロから関わった人物だ。その後もクイックアプリ、スマートフォンOS、さらには車載OSの開発にも携わってきた。

近年、翻訳や録音機能を売りにしたAIデバイスは数多く登場しているが、光帆科技はスマートグラスやペン型、ペンダント型といった新規フォームファクターではなく、すでに市場として成熟しているイヤホンとスマートウォッチに着目した。これらはユーザーへの普及率が高く、日常的に装着できるうえ、天候の影響を受けにくいという実用面での強みも持つためだ。

同社は2025年12月、スマートフォンと連携せず単独で動作可能なAIイヤホンとスマートウォッチを発表した。両製品にはeSIM、カメラ、指紋認証などの機能が搭載されている。

製品の特徴は主に次の3点に整理できる。

第一に、高い環境認識能力だ。センサーとカメラを通じて周囲の状況を把握し、AIがユーザーの意図やニーズをより正確に理解できるように設計されている。

第二に、軽量かつ長時間利用を前提とした構成である。計算負荷の高いAI処理はクラウド側で実行する分離型アーキテクチャを採用し、デバイス側は操作インターフェースとしての役割に特化することで軽量化を実現した。

第三に、AIによる能動的なアクション提案である。スケジュールのリマインドや価格比較、買い物、配車依頼などをユーザーの操作を待つことなく先回りして提示・実行する仕組みを備えている。

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なぜ「200万画素」なのか

デバイスが主体的に行動するためには、「見る力」と「認識する能力」が必要になる。光帆科技のAIイヤホンは、FOV(視野角)88度、200万画素の固定焦点デュアルカメラを搭載し、環境や物体、シーンを認識することができる。

董氏は、AIによる認識は人の目で見るような高精細画像を必要とせず、コップや樹木、文字のように対象物の種類を正確に判別できればよいと説明する。多くのシーンに対応するには200万画素で十分であり、画素数を必要以上に増やしても消費電力やコストが増加するだけだという。

画素数を抑えたことで、複数のセンサーを組み込んでもイヤホンの重さは片耳で11グラムに収まり、9時間の連続通話が可能になった。さらにeSIMも内蔵しているため、スマホに頼らずネットに接続できる。

一方、一緒に使用するスマートウォッチが、画面表示とタッチ操作の役割を担っており、腕を持ち上げるだけで情報を確認できる。またヘルスケア機能を備え、心拍数、血中酸素濃度、ストレス指標などのヘルスケアデータを取得し、AIがユーザーの体調に応じた通知を行う仕組みだ。

プライバシーにも十分配慮した。イヤホンのカメラは200万画素に抑えてあるため、個人や場所を特定できるほどの解像度はなく、画像は処理後ただちに削除され、クラウド側に保存されることもない。

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新たなAIネイティブOSの開発

光帆科技の最大の特徴は、単なるハードウェア性能ではなく、自社開発のAIネイティブOS「Lightware OS」にある。

AI時代のOSはアンドロイドやiOSとは本質的に異なったものになると、董氏は指摘する。これまでのOSはアイコンなどで直感的に操作できるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)がメインだったのに対し、AIネイティブOSは自然言語と視覚を使ったやり取りがベースとなる。また、従来はデバイス側で操作と処理を同時に行っていたが、AI時代には両者が切り離され、デバイスが操作を、クラウドが処理を担当する。

また董氏は、「アンドロイドをベースに改造しようとしたが、極めて難しかった」と語る。Ligitware OSは、クラウド・エッジ・分散式アーキテクチャを再構築し、大規模言語モデルの呼び出しや環境認識、自然なやり取りといった新たな課題の解決に対応する。

現在、Lightware OSは配車アプリ最大手の滴滴出行(DiDi Chuxing)や、テンセント傘下の音楽配信サービスQQ音楽(QQ Music)および音声配信サービス喜馬拉雅(シマラヤ)、通販ガイドアプリの什麽値得買、フライト・旅行関連サービスアプリ航班管家など主要サービスと連携しており、先回りしてサービスを提供するエコシステムが徐々にできつつある。例えば「お腹が空いた」と話しかけるだけで、現在地や食の好み、予定に応じてレストランを提案し、順番待ち予約まで自動で行い、時間になると通知してくれる。

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“忘れ去られた7割のニーズ”

産業投資家が光帆科技を評価する理由の一つは、同社がオフライン需要の取り込みに注力している点にある。董氏は、消費者ニーズの約3割はオンラインで完結する一方、残る約7割はオフライン環境から生まれると指摘する。

スマホは指や目を使って操作するため、手がふさがっていればオフラインのこうした細かなニーズは取りこぼされてしまう。常時環境を認識できるAIウェアラブルであれば、オフライン行動を新たなトラフィックや生産性へと変換できる可能性があるという。

例えば買い物中に気になる商品を見つけた場合、口頭で伝えるだけでイヤホンが対象物を認識し、オンライン価格を比較し、そのまま注文まで完了できる。スマホを取り出す必要すらなく、希望を伝えればデバイスが能動的にアクションを起こしてくれる。

董氏は、モバイルインターネット時代に、整ったエコシステムを構築した企業が勝ち残ったように、AI時代もエコシステムへと集約されていくと指摘し、最終的にトラフィックがどこに向かうかを決めるのはユーザー体験だという強調した。

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*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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