受注1.3万台、年内納入は最大2000台?中国UBTECHの「人間そっくりヒューマノイド」、量産の壁
中国のヒューマノイド(人型ロボット)大手、優必選科技(UBTECH Robotics)は9月16日、消費者向けの超バイオニック・ヒューマノイド「UWORLD U1」シリーズの量産と納入を開始した。ただ、6月の発表時に1万3000台を超えていた受注に対し、2026年中の実際の納入台数は1500~2000台にとどまる見通しだ。
U1は同社初の、人間に近い外観や表情を特徴とする超バイオニック・ヒューマノイドで、感情的なコミュニケーションや家庭での付き添いなどを想定する。価格は半身型「U1 Lite」が11万9800元(約280万円)、全身型「U1 Pro」が16万9800元(約390万円)から。6月に予約販売を開始し、同月30日時点でオンラインとオフラインを合わせた受注台数は1万3361台に達したという。
この数字は、UBTECHが2025年に販売したフルサイズ・ヒューマノイド1079台の12倍を超える規模だ。一方、8月末の決算説明会では、経営陣がU1の26年の納入台数を1500~2000台とする見通しを示した。6月末時点の受注台数の約11~15%に相当する。
U1は予約販売時に一定額の予約金を支払う方式を採用し、キャンセル可能な期間も設けていた。このため、発表された1万3361台を、そのまま最終的な販売台数とみなすことはできない。
さらに興味深いのが、実際の購入者だ。U1は「消費者向け」を掲げて登場したが、9月16日に公表された最初の納入先は、上海の自動車販売大手・永達集団、北京の自動車販売会社・波士集団、韓国のGalaxy Robot Parkだった。現時点でUBTECHは個人消費者への具体的な納入台数を明らかにしていない。
つまり、家庭向けとして注目を集めたU1だが、商用化の初期段階では、自動車販売店での接客や案内、商業施設での展示・集客といったBtoB用途が先行している可能性がある。200万円を大きく超える価格を考えれば、一般家庭よりも、ロボットそのものを集客やサービスに活用できる企業の方が導入価値を見いだしやすい。
製品の成熟度も課題となる。U1は人間に近い外観や88自由度の関節、感情認識AIなどを特徴とする一方、連続稼働時間は2~4時間にとどまる。歩行や表情の自然さ、会話の応答速度などに改善の余地があるとの指摘もある。さらに、人間と長時間過ごす家庭用ロボットには、工場向けとは異なる水準の安全性や操作性、自然なコミュニケーション能力も求められる。
UBTECH自身も、1万台を超える規模の量産が大きな挑戦になると認識している。精密な駆動部品に加え、人間に近い外観を実現する構造を持つヒューマノイドでは、スマートフォンや家電のように短期間で生産規模を引き上げることは容易ではない。
一方で、生産能力の拡大も急ぐ。9月12日には広西チワン族自治区柳州市で、年間生産能力1万台超を見込むスマート工場を稼働させた。ただし、同工場が主に生産するのは産業向けの「Walker S」「Cruzr」シリーズで、U1の年間生産能力を示すものではない。
中国ではヒューマノイド各社が相次いで「量産」の段階に入りつつある。しかし、予約や受注を積み上げることと、実際に製品を大量生産し、最終顧客に届けることは別問題だ。U1が今後どこまで一般家庭に入り込めるのか、そして1万台を超える受注を実際の販売につなげられるかが、中国の「消費者向けヒューマノイド」市場の実力を測る一つの試金石となりそうだ。
1元=23円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)