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ファーウェイのクラウド事業部門「ファーウェイクラウド」が昨年末、企業向けコラボレーションツール「WeLink」をローンチした。スマートビジネスプラットフォームとの位置づけで業務のデジタル化を推進する。
WeLinkはもともとファーウェイ社内で使用されていたツールで、アリババグループの「DingTalk(釘釘)」とよく似ている。初代のバージョン1.0は2017年1月から同社内でオンライン会議、メール、稟議、情報共有などに利用されてきた。
同社提供のデータによると、WeLinkのグローバルユーザー数は19万5000人、1日のアクティブ率は99.8%、1日のアクセス数は延べ1200万回で、52万の業務チームが導入し、ホワイトボード1万4000枚、業務プロジェクト700件超に接続する。全世界に散らばるファーウェイ社員による業務連携は30%も効率化された。社員の満足度は90点以上に達するという。
社内での普及が進んだ後、ファーウェイはこれを一般企業にも提供し、将来的には収益化も探っていく。現時点でファーウェイクラウドの公式サイトにはサービスの一つとして掲載済みで、購入もできるほか無料利用もできる。ファーウェイはICTソリューション事業グループで多くの法人顧客を抱える。WeLinkがオフィス用ソフトに対する法人顧客のニーズを満たすことで、ファーウェイクラウドの定着率向上も強化していく構えだ。
ファーウェイ副総裁の薛浩氏によると、2023年には1人当たり4つ以上のスマートデバイスを駆使する時代になる。業務の50%でコミュニケーションツールが利用され、リモートワークを行う会社員は40%に達し、業務時間の60%は業務上のコミュニケーションに費やされることになる。
こうした就業スタイルの変化により、メールのように固定のメンバーだけに宛てられ、受信と返信の繰り返しというプロセスを経なければ成り立たない既存の通信手段は徐々に淘汰される。時や場所を選ばず、リアルタイムで双方向のやり取りができ、業務の進捗状況によって仕切り直しができるような新しいコミュニケーション形態が求められるようになったのだ。
ファーウェイクラウドにとっての商機は既存型企業のスマート化を支援する点にある。彼らに首を縦に振ってもらい、予算を割いてクラウドサービスを導入してもらうには、WeLinkのようなツールは恰好の入り口だ。どのような業種であれ、企業は恒常的に従業員の連携効率を高めたいと考えているはずだからだ。
WeLinkの普及に当たっては使いやすさも必要だが、導入時に既存のプラットフォームに変更を加える必要はなく、実際にファーウェイ社内に導入した際も700余りのサービスが1年もたたないうちにすべてWeLinkに一本化されたという。
ファーウェイ以外にもすでに「金山弁公軟件(Kingsoft)」「中軟国際(Chinasoft International)」「到遠互聯軟件(Seeyon Internet Software)」などの外部企業で導入済みだ。中軟国際では導入後4カ月で19年分のデータ移行を完了し、これまで40本以上使っていたソフトをWeLinkに統一したという。
WeLinkにはAIアシスタントも搭載されており、音声操作で同僚やメールの検索、出張手配、経費申請などをコンプリートできる。使えば使うほどアシスタントの精度は高まっていく。
WeLinkのサービスは基本サービスとオプショナルサービスに分かれている。基本サービスは連絡先リスト、通話、タイムカード、稟議申請など常用される機能をカバーしており、利用人数で料金が決まる。一方、定額制オプショナルサービスは、オンライン会議、クラウドストレージ、ライブ配信、プライバシー通信、音声アシスタントなどが利用できる。
以上の機能や位置づけからすると、WeLinkはアリババのDingTalkやテンセントのWeChat Work(企業微信)とほぼ同じツールとみてよい。先行者のDingTalkとWeChat Workが二強を占める中、WeLinkはどれだけの存在感を示せるだろうか。
※アイキャッチ画像はファーウェイ提供、本文中の画像は36Kr記者の撮影
(翻訳・愛玉)
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