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宇宙からスマートフォンで地球を撮影したら、どのように映るのか。2月13日午後、中国のスマホ製造大手「シャオミ(Xiaomi、小米科技)」の「Xiaomi Mi 10」と「Xiaomi Mi 10 pro」シリーズの新機種発表会で、同社創業者兼CEOの雷軍氏が「Mi 10 pro」のカメラで宇宙でから撮影した地球の写真を公開した。
この写真は、中国の民間宇宙開発企業の「天儀研究院(SPACETY)」がシャオミのパートナーとなり、SPACETYが開発した人工衛星「潇湘一号08」にシャオミのカメラを搭載し、2019年11月3に打ち上げ、軌道上で撮影したものだ。
コンシューマー用スマホのモジュールとカメラを宇宙で使用することは容易ではない。まず、電子機器にはコンシューマー用、業務用、産業用、軍事用および宇宙用などの規格がある。スマホはコンシューマー用に該当するため、宇宙用機械設備が使用されるのと同様の環境に置かれる場合は、気温の変化や空間放射線などの課題に直面することになる。また、スマホカメラは大気層を突破する際に、振動による衝撃に耐えなければならず、その衝撃は一般道路での走行の約100倍となる。
2016年に設立されたSPACETYは中国初の民間宇宙開発企業の一つで、ビジネス向けの航空システムと載荷を研究している。2019年末までに、同社は9回の宇宙プロジェクトを実施し、衛星15基の打ち上げを成功した。
SPACETYは宇宙事業を身近なものにすることを目標としている。同社は、一部のコンシューマー用、産業用の電子機器の宇宙搭載を試みた際に、多くのコンシューマー用と産業用の電子機器が、1970~80年代に生産された宇宙用のものより性能が高く搭載に適していることに気づいた。そのためシャオミに積極的なコンタクトを始めたという。
発表会完了後、SPACETYの楊峰CEOは、シャオミとの提携において予期した成果が得られたため、今回の試みは今後の航空宇宙用機器の応用の道を新たに切り開いたと話した。
SPACETYは今回の提携により、優れたコスト・パフォーマンスで地球の撮影に成功した。これまでは、研究者が大量の地球の映像を取得するために、大型の衛星を使用しなければならなかった。例えば、2013年2月11日に打ち上げられた米国の衛星Landsat8は、リモートセンシングによる地球観測に大きく貢献したが、この衛星のコストは10億ドル(約1100億円)に達した。今回シャオミ10 Proのカメラを搭載した人工衛星Cube Sat(キューブサット)は、ハンドバッグ程度の大きさで、コストもLandsat8より低い。
楊峰氏によると、今回のスマホで撮影した写真の質の高さに、専門のリモートセンシング業者が驚嘆したという。撮影された写真の画像は、スマホカメラで撮影したためフィールドアングルは高くないが、1枚の写真の撮影範囲は約720×540キロに及ぶ。Landsat8の光学カメラは解像度がシャオミのスマホの2倍だが、カバーした横幅はシャオミの1/4しかなかったという。もし同種のカメラを大量に打ち上げれば、多角度、複数の解像度で、また、複数のモードによる高頻度な地球の撮影が可能で、最終的に兆単位の画素で地球のパノラマ映像を合成できる。そうなれば、気象観測、環境アラート、海洋科学、極地氷河、さらには金融等の分野での応用が期待できる。
今回のような低コストでデータを収集する方法は、他の民間宇宙開発会社にも新しい収益化モデルを示した。民間宇宙開発業者にとって、コストダウンは最も重要な課題である。同業界では、米国のSpaceX社がビジネスモデルを構築しコストダウンを試みるまでは、航空宇宙サービスの費用を負担できる顧客は極わずかだった。そのため、宇宙航空サービス業界に進出する民間企業が少なく、業界はほぼ独占状態だった。中国の民間宇宙開発業者にとっても、顧客を増やしていくためには、今後は低価格が鍵となる。
(翻訳:小六)
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