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音声コンテンツ配信の「蜻蜓FM(QingTing FM)」が上場を目指しているとの情報が流れていたが、それよりも先にスマホ大手のシャオミ(小米)から戦略的投資を受けることになった。蜻蜓FMの創業者である張強氏の社内向けメールによると、シャオミからの戦略的投資を受けることが決定し、今後は「より緊密なパートナーシップをもって、AIoT時代のスマート音声配信サービスのエコシステムを構築していきたい」としている。
これにより、蜻蜓FMにはシャオミ、バイドゥ(百度)とアリババが戦略的投資をしたことになる。こうした投資について張強氏は、単なる資本提携にとどまらず、エコシステム構築のための提携だと強調している。
音声コンテンツ配信サービスは始まってからすでに10年近く経ち、定着してきたが、浸透率をどのように高めるかは依然として課題である。蜻蜓FMの戦略は、音声コンテンツ配信の市場をモバイル・インターネットとIoTの2つに大別して開拓することである。前者はアプリを経由しコンテンツを提供するもので、動画、書籍、ライブ配信などと組み合わせることが多い。この分野ではすでにファーウェイ、スマホメーカーの「VIVO」、シャオミ、バイドゥ、「今日頭条(Toutiao)」などと提携している。
後者はスマート家電やウェアラブルデバイスにコンテンツを提供するものである。蜻蜓FMはすでにシャオミ、アリババ、バイドゥのスマートスピーカーでの配信を行っており、ほかにも家電メーカーの「海信(ハイセンス、Hisense)」、「TCL」、ハイアール、「美的(Midea)」のスマート家電、アップル、ファーウェイ、サムスンのウェアラブルデバイスで配信している。現在蜻蜓FMサービスを内蔵するスマート家電やウェアラブルデバイスは計6400万台となり、子ども用のスマートデバイスは2000万台を超えた。
また、モビリティでの利用も考えられる。蜻蜓FMはフォード、ボルボ、BMW、アウディなどの自動車メーカーや、自動車向けコンテンツを提供するTSP(Telematics Service Provider)企業と提携しており、現在では蜻蜓FMの配信を聴くことができるクルマは800万台になった。
浸透率を上げた後に重要になるのが正確なレコメンドだ。ユーザーの現在地、好み、習慣によってコンテンツを細かくタグ付けしていくことが必要だが、蜻蜓FMはすでにプラットフォーム上にあるコンテンツすべてのタグ付けを終えたという。
浸透率の向上に従い、収益モデルも多様化してきている。目下の蜻蜓FMの売り上げは有料コンテンツ、広告収入、サブパブリッシング、スマートデバイスからなっている。
2020年1月17日に、同じく音声コンテンツ配信の「荔枝(lizhi.fm)」が米国上場を果たし、中国の同業界における初の上場企業となった。このこと自体は喜ばしいことだが、上場を目指す蜻蜓FMや「喜馬拉雅(Ximalaya)」にとっては、今後の企業評価額の目安ができたことになり、評価額の大きな上積みを期待するのは難しくなりそうだ。
ライブ配信やショート動画は文字通り視聴者の注目を引くものであるのに対し、音声コンテンツは何かをやりながら聴くことが多い。そのため、在宅、モビリティなど各種の利用シーンをすべてカバーして初めて、音声の影響力が十分現れてくる。今後さまざまな利用シーンをカバーすれば、音声は動画と比べトラフィック獲得の効率が悪いという認識が変わる可能性がある。
蜻蜓FMのユーザー数は4.5億を超え、2019年11月時点での月間アクティブユーザー数は1.3億になり、前年同期比で30%増えている。当該サービスが利用可能なスマートデバイスは9000万台、1日あたりの聴取時間は計2500万時間に上り、外部の提携パートナーは600社となっている。
トップ画像は「pexels」より
(翻訳:小六)
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