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3月16日、世界最大手の電気自動車用の電池メーカー「寧徳時代(CATL)」の株価が9.87%の暴落を記録し、終値が119.06元(約1900円)となった。暴落の直接的原因は3月13日に同社の株主が発行済株式数の2%に及ぶ売却を発表したためだ。しかし、寧徳時代にとって、より悩ましいのは、電池製造の内製化を進める自動車メーカーが増えてきたことだ。顧客が減るだけではなく、新たなライバルが生まれる可能性もある。
電池メーカーと自動車メーカーの提携
電池製造の内製化を進める企業のなかで代表的なのがテスラだが、実は同様の動きはほかにも多く見られる。
ゼネラル・モーターズは米国で電池製造基地を作ろうとしており、ベンツは欧州、アジア、北米で計9つの電池工場を持つ。中国国内では「比亜迪(BYD)」が5つの電池工場、「吉利(Geely)」が2つの電池工場を持ち、後者はさらに1カ所を建設中である。
自動車メーカーがどこも電池を内製化するようになると、電池メーカーは顧客が流失するため、積極的に自動車メーカーとの提携を模索するようになった。
例えば、スウェーデンの電池メーカー・ノースボルト(Northvolt)社はフォルクスワーゲンと合弁で電池工場を建設し、LGはゼネラル・モーターズ、ヒュンダイと提携。フランス電池メーカー・サフト(Saft)社はプジョーシトロエンと2つの電池工場を建設するなどの動きがある。なかでも、テスラと10年間提携してきたパナソニックの動きは注目に値する。2020年2月3日、パナソニックはトヨタと電池の新会社を立ち上げることを発表した。持ち株比率はトヨタ51%、パナソニック49%である。
寧徳時代も自動車メーカーとの提携を早期から進めてきた。中国国内の6大国有自動車メーカーのすべてと工場の合弁または資本提携をしており、吉利傘下の自動車部品メーカー「浙江吉潤」とも合弁会社を立ち上げた。海外の提携先も含めるとすでに提携相手は30社に上る。
内製化を進めるテスラ
電池メーカーとの提携でコストを下げようとする自動車メーカーが多いなか、テスラはかねてより内製化を目標に動いてきた。
その動きが一段と目立ってきたのは2019年以降である。同年2月、テスラはスーパーキャパシタメーカーである「Maxwell」社の株式79%を取得したと発表し、動力電池技術に注力し続けることを印象づけた。
さらに、2019年6月にはテスラのイーロン・マスクCEOが、電池の原材料確保のため、鉱山業に進出する可能性があることに言及。その後、電池技術の開発チームを立ち上げる計画を発表した。現在同社は米国のフリーモント市で電池の生産ラインを建設中で、技術者の募集を続けている。2020年2月には、正式に電池の内製化計画を発表した。
テスラと寧徳時代の競争となるか?
電池を自社のクルマに供給するだけでは、投資に見合うリターンを得るのは難しい。
比亜迪は新エネルギー車メーカーのなかで電池の完全内製化を実現している数少ない企業で、一時期中国トップの電池販売量を誇っていた。しかし、寧徳時代は2017年から急成長し、すぐに電池の設備容量で比亜迪を超えた。
そこで比亜迪は、自社向けに電池を提供するだけでは不十分と考え、電池事業の拡大を検討する。そして、現在「東風汽車(Dongfeng Motor Corporation)」、「成都客車(shudu)」などに動力電池を提供している。
イーロン・マスク氏も2019年第4四半期の財務レポート電話会議において、電池の生産量を「想像できないほどの水準に増やす」と話していた。これはテスラも電池の販売を開始する可能性があることを意味する。テスラと比亜迪が、動力電池をめぐる競争の重要なプレイヤーになる日は目の前に迫っており、電池のサプライヤーとしてテスラと寧徳時代が競争する日も遠くないかもしれない。
(翻訳:小六)
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