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中国のスマホメーカー、シャオミ(小米科技)で副総裁を務める常程氏は3月10日、中国版ツイッター「微博(Weibo)」で、同社製スマホの「Mi MIX」シリーズに対するネットユーザーの考えを尋ねた。同社幹部がSNSというオープンな場で、同社のハイエンド製品ラインナップについて言及するのは初めてだ。
この1カ月前にシャオミ中国エリア総裁の盧偉氷氏も同じように微博で、「競争という点で、シャオミはハイブランドを目指している。シャオミの『Mi』と『Mi MIX』が、ファーウェイの『P』『Mate』シリーズや『iPhone』をベンチマークとしているのは間違いない」と明かした。
幹部2人の相次ぐ動きが、Mi MIXシリーズの新製品に期待を寄せるユーザーを安心させたことは確かだ。シャオミが発売した「Mi 10 Pro」の最高価格が5999元(約9万円)に跳ね上がると共にスペックが「ほぼ最高」となっていたため、これを上回るMi MIXシリーズがリリースされるかどうかについて、「シャオミファン」は同社幹部の微博にずっとメッセージを送っていたのだ。
「Mi 10」シリーズの発売後、シャオミ董事長兼CEOの雷軍氏は何度も、「シャオミのスマホはすでに価格制限をやめ、全てを惜しまずに最高のユーザー体験を追及しており、ハイエンド市場に全力で切り込む」との考えを明らかにしている。Mi 10シリーズは、初めてハイエンド市場に切り込んだ製品となった。
ブランドイメージの刷新に加え、Mi 10シリーズがシャオミにもたらした直接的な影響は、ASP(平均販売価格)を引き上げたことだ。これについては多くの証券会社もリポートで繰り返し触れている。
これまでシャオミのスマホ出荷台数は、販売価格が低いサブブランドの「Redmi(紅米)」が大部分を占めてきた。そのため、ASPは長期にわたり1000元(約1万5000円)余りで推移し、「ファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivo(華米OV)」という中国四大ブランドのなかで最も低かったのだ。
Mi 10シリーズと、それに続くシャオミとRedmiのミドルレンジおよびハイエンド製品が市場で成功を収めれば、シャオミのASPは大幅な上昇が期待できる。
「太平洋証券(Pacific Securities)」アナリストの陳天蛟氏はリポートで、中国EC大手「京東(JD.com)」と「天猫(Tmall)」のデータをもとに、Mi 10シリーズの出荷台数がオンラインとオフラインの合計で40~50万台ほどに上ると予想。その上で「シャオミのミドルレンジおよびハイエンド市場への進出と、5GスマホのBOM(部品表)コストが販売価格の上昇を招き、中国国内のスマホASPは大きく上がるだろう」と分析した。
「中信建投証券(CSC Financial)」アナリストの陳萌氏も3月9日に発表した「Mi 10シリーズの販売好調、ミドルレンジとハイエンド市場に参入、ASPは上昇へ」というタイトルのリポートで、「販売状況をみればMi 10シリーズはユーザーにとても好評なことが分かり、シャオミブランドはミドルレンジおよびハイエンド市場に参入する非常に良い口火を切った」との見方を示している。
情報サービスの「ブルームバーグ」によると、シャオミの株式について、3月上旬時点でアナリストのうち27人が「バイ」、8人が「ホールド」、4人が「セル」の投資判断を下した。
しかし、最近の香港株式市場は不安定で、Mi 10シリーズの発売後もシャオミの株価に大幅な上昇はみられていない。同社株の4月9日終値は前日比0.4%安の10.14香港ドル(約142円)と、製品発表会が開催された2月13日の終値13.38香港ドル(約187円)を依然として下回っている。
(翻訳・神戸三四郎)
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