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中国のスマートカメラブランド「Insta360(影石)」の製品出荷数が100万の大台を超えようとしており、売上高の年平均成長率も130%以上になっている。
近日、Insta360はシリーズDの数千万ドル(数十億円)に上る資金調達を完了したと発表した。出資者は「中信証券(CITIC Securities)」「招商局中国基金(China Merchants China Direct Investments)」「基石資本(Co-Stone Capital)」。創業者の劉靖康氏によれば、今回調達した資金は主に、画像、AI、オートメーション化技術の研究開発に用いられ、アクションカメラのラインナップ充実を図る。またサプライチェーンの川上・川下への投資や、アート関連の強化、さらに人材確保にも充当される。
2015年に設立されたInsta360は、創業当初は主にバーチャルリアリティー(VR)とパノラマカメラの販売を行っていたが、2017年からアクションカメラ市場に参入した。製品はコンシューマー向けとプロ向けの2系列に分かれ、360度パノラマカメラ、3Dパノラマカメラ、アクションカメラ、携帯電話アクセサリーなどの製品がある。旅行、文化、娯楽、ニュース、ライブ配信、スポーツ、コンテスト、ストリートビュー、不動産などさまざまな場面や対象への応用が可能で、企業や一般消費者の双方が対象となる。
Insta360の製品ラインナップ
創設から5年経ったInsta360の売上高に占める研究開発費の比率は10%以上である。国内外における特許累計申請数は170件に上り、このうち国外市場での申請数は70%ほどである。
2020年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)では、手ぶれ補正機能付きのマルチレンズアクションカメラ「ONE R」が発表された。製品ラインナップのうち、1インチ版はライカとの初の共同設計によるもので、ライカの画像処理テクノロジーを使用し、1インチセンサーを搭載している。ONE Rのツイン版は近日中に世界のApple Storeで発売される。これはONE、ONE X、GOに続き世界中のApple Storeで販売されるInsta360の4番目の製品となる。
プロ用ラインナップでは、8X MFTセンサーを搭載した VR撮影カメラ「Titan」が注目だ。同製品はVRコンテンツを11K超高画質にまで引き上げた。プロ用製品はVR報道、VR不動産、パノラマライブ配信、スマートセキュリティなどの分野で活用され、提携パートナーには「貝殻・如視(Beike-Realsee)」「安居客(Anjuke)」「720yun.com」「123看房(123kanfang)」「中国中央電視台(CCTV)」などのVRを活用する中国企業に加え、米国の大手通信業者ベライゾン・コミュニケーションズや3Dスキャンカメラを手がける「Matterportマーターポート(マーターポートMatterport)」もある。また深圳市宝安区警察局とも提携している。
VRを駆使した新たな活用分野
近年ショートビデオが流行し、中国では「国民総ビデオブロガー化」の傾向が著しいため、これまでエクストリームスポーツ愛好家だけの専売特許だったアクションカメラが一般の人々の間でも普及しつつある。加熱するアクションカメラ市場では、ソニーやニコンなどカメラの「老舗」だけでなく、スマートフォン大手シャオミ(Xiaomi)系列の企業やドローン世界最大手の「DJI(大疆創新科技)」、そしてInsta360などスタートアップ企業も次々と製品を発売、米国のリーディングカンパニー「GoPro」のシェアを蚕食しつつある。
英調査会社傘下のTechNavioは2017~2021年の5年間の世界のアクションカメラ産業調査報告を発表したが、2021年までにアクションカメラ市場は15%成長するとしている。
Insta360はこの激しい競争を生き抜くため、性能向上と使用分野の開拓という2つの戦略を採っている。劉氏によれば、これらの戦略は互いに補い合っている。新たな使用分野や活用方法を見つけ出すことにより、研究開発に拍車がかかり、機能が向上する。するとまたさらに新たな活用分野が見いだされる、という具合だ。カメラ製造に本腰を入れるならば、工程、技術、製品に関連した人材だけでなく、芸術的細胞を持つ人材も必要となる。
Insta360は撮影アートの最高のテクニシャンたちからの助けを得つつ、その意見を製品開発に生かしている。この1年間でAIテクノロジーを撮影や編集プログラムに応用することで、操作が一層容易になり、新たな使用方法も可能になった。今後もこの方向で開発が行われる。ハードウェア面では、カメラの自動的な運動を可能にするアクセサリーの開発を計画している。
Insta360はこれまで「IDGキャピタル」「創業邦天使基金(Cyzone Angel Fund)」「啓明創投(Qiming Venture Partners)」「迅雷網絡技術(Thunder)」「蘇寧易購(Suning Group)」「麦高富達基金(MAGNET FUND)」「朗瑪峰創業投資(Everest Venture Capital)」「華発集団(Huafa Group)」傘下の投資プラットフォームなどからの投資を受けているが、新規株式の発行は低迷している市場の動向に応じて決定すると劉氏は語った。
(翻訳・近藤)
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