上汽VM、テンセント・京東・高徳地図などと提携 コネクテッドカーを強化

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フォルクスワーゲンと「上海汽車(SAIC)」の合弁会社である「上汽大衆汽車(SAIC Volkswagen Automotive)」によると、同社はテンセント、EC大手の「京東(JD.com)」、アリババ傘下地図情報会社の「高徳地図(Amap)」、音声配信プラットフォームの「喜馬拉雅(ximalaya、ヒマラヤ)」の4社と共同で最新のコネクテッドカーシステムを開発し、2020年型のパサート車に搭載したという。

上汽大衆とテンセントは、SNSアプリの「WeChat(微信))」に車内で利用できる機能を備えさせた。現在、専用のWeChat内のミニプログラムで、行き先やルートを友人と共有できるようになっている。テンセントのスマートモビリティ事業副総裁の鐘学丹氏によると、同社はすでにオープンソースの車載用開発プラットフォームを構築しており、サードパーティでも低コストで新しいアプリを開発できる。

上汽大衆と京東の提携について、京東のクラウド・IoTソリューション事業部の王雅卓総経理は、京東はコネクテッドカーに関わる技術のエコシステムを作りたいと考えており、2020年は新型パサート限定とし、今後はほかの車種にもサービスを搭載していく予定だと話した。

京東は上汽大衆とスマートカーのサービスを共同開発していく方針 画像は上汽大衆より

王氏はまた、今後上汽大衆とスマートメンテナンスサービスを発表する予定だと明かした。これは自動車オーナーがアプリ等を通して、自宅にいながら走行距離、車両、部品の異常、次の点検時期などを確認できるものだ。

京東が上汽大衆と提供する予定のスマートメンテナンスサービス 画像は上汽大衆より

高徳とはカーナビゲーションに関する提携を結んだ。新型パサートのカーナビは高徳の地図を採用し、車両のセンサーで得られた情報をカーナビで表示できるようになり、他にも音声コントロール、地図情報をデジタルメーターやヘッドアップディスプレイに表示する機能が追加された。ルート検索ではリアルタイムの交通情報とビッグデータにより、よりスマートな計算が可能になっている。

喜馬拉雅との提携は現時点ではアカウント情報の共有に留まったが、喜馬拉雅のコネクテッドカー事業部の張渝総経理は、今後上汽大衆とともに車内空間に最適な音声配信サービスとはなにかを模索し、サービスを向上させていきたいと話した。

上汽大衆の担当者によると、これらのサービスは5年先まで無料とするという。搭載車種はパサートのほか、新型のMPV Viloran、Tharuなどを予定している。来年には同社の電気自動車すべてに、最終的には全車種に搭載する予定。

上汽大衆が次世代のコネクテッドカーシステムの開発を始めたのは2017年で、今後はHCI(ヒューマンコンピューターインタラクション)スマートコックピット、車両全体のオペレーションシステム、IoT設備との接続、5G、V2X(車々間・路車間通信)、クラウド上での安全管理など全面的に技術開発を進めていく予定。

内燃機関車の時代においては、自動車メーカーが100年かけて蓄積してきたECU(エンジンコントロールユニット)のデータは、新車の開発に欠かせない基礎であった。しかし、スマートカーの時代には、マスデータの応用とソフトウェアの開発力が自動車の性能を大きく左右することになるだろう。

自動車メーカーとインターネット大手の提携もこのことを背景としている。上汽大衆のような大手メーカーにとっては、単なるメーカーからサービスプロバイダーへの転換が不可避である。一方、インターネット大手にとっては、自動車が持つトラフィックで新たな市場を掘り起こすことが期待できる。クルマは移動手段だけではなく、データを取得できる装置として重要視されているのだ。

しかし、こうした協力には大きな課題がある。皆が納得できるルールがまだ整備されていないことだ。自動車メーカーでIoT・ビッグデータを担当する某エンジニアによると、自動車メーカーとインターネット企業はデータ資産をどこまで共有するかについて、まだ合意できていないという。特にインターネット技術で劣る自動車メーカーは、できるだけデータを自社にとどめておきたいという思いが強い。

ビッグデータは自動車が真にスマート化するための前提であり、データが分散化している現状を打破するのは、より広い視野での垣根を超えた協力が必要だろう。

(翻訳:小六)

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