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新型コロナウイルスが今年上半期の家電市場に打撃を与えたことは確かだが、近未来感満載の球体型ワイヤレススピーカー「Gravastar(グラバスター)」を手掛ける「拙野科技( ZOEAO TECHNOLOGY)」の黄勇CEOは、消費者の個性的な商品に対するニーズは常に存在しており、長期的に見れば市場は復活すると考えている。現在Gravastarの出荷台数は徐々に回復してきているという。
ブランド理念:見た目のカッコ良さだけではないこだわり
Gravastarは拙野科技が発売したワイヤレススピーカーの第1弾だ。独特の球体型形状で三本の脚があり、本体には亜鉛合金を使用するなどSFらしい雰囲気を醸し出している。主なターゲットは16~35歳の男性ユーザーだ。
同商品は新型コロナウイルスの流行以前は毎月4000~6000台を出荷していたという。また、トップブランドが提携しているサプライヤーと主に提携し不良品の発生率を0.5%以下に抑えている。現在、30社を超えるサプライヤーと取引しており、スピーカーは有名ブランド「harman/kardon(ハーマンカードン)」と同じサプライヤーを選択、クアルコムの80MHz対応のハイエンドBluetoothチップを採用している。
海外では同社のスピーカー2モデルはそれぞれ259ドル(約2万8000円)、359ドル(約3万8000円)で販売されている。中国国内では1299元~1999元(約2万~3万円)といくらか割安だが、価格は世界の一流ブランドのスピーカーと同水準だ。このような価格設定のもと、新興ブランドであるGravastarは「Bose」「B&O」などのトップブランドのスピーカーと並んでディスプレイされた際に、その独特なデザインと質感で差別化されるように考えられている。
しかし黄CEOは商品が特定のカテゴリに縛られることを好まない。同社はすでにGravastar Speakerの第2弾、第3弾となる製品を開発しており、女性ユーザーが好む可愛らしいものなど、より多様なデザインをリリースするという。価格設定も若干見直し、より幅広い消費者をターゲットにする。
海外進出とオンライン販売の強化
Gravastarの売上高のうち35%を占めているのが欧州市場だ。中国市場は30%前後となっている。海外のオフライン販売はエリアごとの代理店を通して行われる。中国国内では「順電(sundan)」や「声音小鎮(Sound Town)」「美承(MEICHENG)」など高級家電チェーンで取り扱われている。現在、Gravastarは全世界の約600店舗で販売されており、その内訳は海外が200店以上、中国国内が300店以上となっている。
海外進出する際に多くの中国メーカーはコストパフォーマンスを売りにOEMメーカーとして進出するが、Gravastarの選択はそれとは異なる。まず高級路線を選択し、斬新なデザインと高品質で差別化を図っている。次に同社のチームは規模が小さくフレキシブルだ。商品の品質を確保しながら市場の変化にも柔軟に対応できる。そして同社は実際の注文数に応じて在庫を調整し、薄利多売は行わない。
世界中でオフラインでの販売が落ち込んでいるためGravastarはオンラインでの宣伝と販売をより重視し始めている。新型コロナウイルス流行の影響を受けて、海外の代理店との提携は一時的に鈍化しているが、FacebookとInstagramでのファンのインタラクション数は増えているという。中国国内では商品にふさわしいKOL(インフルエンサー)とプロモーションを行っており、ブランドとのコラボレーションやクラウドファンディング、ライブ配信による販売促進などで人気が上昇している。
スピーカー市場にバイタリティーと変化を
黄CEOはスピーカー製品のエコシステムは硬直化していると考えている。トップブランドのBoseやハーマンカードンなどが長期にわたって市場シェアの大部分を占めているからだ。トップブランドのデザインはどれも似たようなものとなり、モデルチェンジのサイクルも長い。例えばBoseの「Soundlink mini」は発売から7年以上たっているが、なお年間数百万台も売れている。Gravastarは消費者に新しい選択肢を提供し、個性的なデザインで消費者を惹きつけ、コレクションなどのニーズを持つ消費者にも応える。
黄CEOは工業デザイン専攻で16年のプロダクトデザイン経験を持ち、現在は主に商品のポジショニングやデザインの方向性を主導している。このほか同社のチームにはフィギュア職人や漫画家、音楽ファンなどが所属しているが、みな商品への強い愛着とブランド理念への賛同からチームに加わっている。Gravastar自体が業界の垣根を越えたプロダクトであり、黄CEOは将来的には志を同じくするパートナーをより多く集め、チームの各能力を高め、より革新力のある製品を開発したいとしている。
(翻訳・山口幸子)
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