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飲食業界向けSaaSのプロバイダー「Hualala(嘩啦啦)」を運営する「多来点信息技術(Duolaidian Information Technology)」が登記内容を変更し、出資者に新たな名を加えたことが中国の企業データベース「天眼査」からわかった。出資者として新たに登録されたのは生活関連サービス大手「美団点評(Meituan Dianping)」の関連会社「天津三快科技」および「上海漢涛信息咨詢」で、持ち株比率はそれぞれ4.60%(第6位株主)、2.64%(第10位株主)となった。
天津三快科技は美団の運営母体「北京天津三快科技」の完全子会社で、上海漢涛信息咨詢は「美団」と合併した中国最大級の口コミサイト「大衆点評」の運営母体。Hualalaが増資したことによって、美団が飲食事業で何を仕掛けてくるかが注目の的だ。
Hualalaは飲食業向けに特化したSaaS企業で、CRM(顧客関係管理)やPOS(販売時点情報管理)を含む受注・支払い・店舗在庫などの管理業務を行う。同社はオンライン決済およびオンライン少額融資の許可証を取得しており、金融サービスも提供できる。飲食事業者に向けてマーケティングや情報化管理を行い、フードデリバリーや地域密着型生活サービスに関わるインダストリアルチェーンの川上を担う。
美団は以前から同分野に着目しており、2018年5月には飲食業界向けSaaSプロバイダー「屏芯科技(Passion Technokogy)」を完全子会社化している。同社はサプライチェーンマネジメントや会員向けマーケティングなどを手がけている。
屏芯科技を買収した主な目的の一つは、飲食店の経営をオンライン化させることだ。飲食事業者と提携する中で、決済データ(オンライン、オフラインを含む)や店舗紹介ページの閲覧時間、メニューに対する嗜好などさまざまな顧客データを収集し、飲食業者とのさらなる緊密な協業を図る。
美団は2018年3月にも、飲食店向けサービス「奥琦瑋信息科技(Acewill Information Technology)」による2億元(約30億円)に上るシリーズCの資金調達でリードインベスターを務めている。奥琦瑋は同年5月に、大規模チェーン店を主なターゲットとする飲食企業管理ソフト「天子星(Tzx Star)」を買収しているが、こちらも過去に美団からの出資を受けている。
美団の地域密着型生活サービス事業にとって強敵はアリババグループだが、そのアリババも負けていない。今年2月には飲食業向けSaaS「客如雲(Keruyun)」を完全子会社化している。アリババの生活関連サービスは配達周りを「餓了麼(Ele.me)」が、インストア周りを「口碑(Koubei)」が受け持っており、そこへ即配サービスの「蜂鳥配送(Fengniao Delivery)」とデジタルツールの客如雲が加わり、総合的なプロダクトとサービスを展開する。
生活関連サービス市場の伸びしろは依然として大きく、食材のサプライチェーンや経営管理、一般消費者向け配送業務などにポテンシャルが見出せる。同市場においてアリババと美団の地位は言わずもがなだが、新参プレーヤーにもまだチャンスは残されている。
(翻訳・愛玉)
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