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米シリコンバレーで創業した中国の自動運転技術開発企業「AutoX」の運営するロボタクシー事業が、2023年までに黒字化すると見込まれている。アリババグループの出資を受ける同社は最近になって地図サービス「高徳地図(AutoNavi)」と提携し、上海市で正式にロボタクシーの試験運営を開始した。市内で高徳地図のアプリを起動すると空車を検索でき、実際にサービスを体験できる。
「プロフェッサーX」との異名を持つAuto Xの創業者・肖健雄氏はかつて米プリンストン大学でコンピュータービジョンとロボット工学の研究室を立ち上げた人物だ。米フォードの自動運転部門VPへのオファーを蹴り、自ら創業したAuto Xをユニコーン企業へ成長させた。AutoXは現在、レベル4(L4)の自動運転技術において世界最先端を行く企業の一つとなっている。
L2~L3に特化する一部の企業ではすでに事業化を果たしているケースも見られるが、肖氏に焦りはない。現行の自動運転としては最難関のL4に最も大きな商業価値が眠ると考えているからだ。同氏の楽観的な予想では、ロボタクシーは2~3年後には公道運転を許可され、目下の計算上では黒字化を果たせる。高価な部品がさらに値下がりすれば、より利幅の大きな事業になっていくと考えている。
36Kr傘下の自動車専門メディア「未来汽車日報」はこのほど肖健雄氏を取材した。以下はその抄訳。
自動運転技術で最先端を走る「AutoX」、創業者「プロフェッサーX」が語るロボタクシーの実用化(一)
――米マサチューセッツ工科大学で博士号(Ph.D)取得後、フォードの自動運転部門のVPとしてオファーを受けながら自らAutoXを立ち上げた理由は。
「自動車メーカーが自力でL4を実現するのは難しいと考えたからだ。GMは自動運転事業のためにCruiseを買収し、独立運営させている。GMはあくまで出資者だ。フォードも10億ドル(約1080億円)で『Argo AI』を買収したが、従業員は別個で雇っている。自動車メーカー自身がL4を手がけるのは難しいのだ」
「フォードからVPの職をオファーされたとき、シリコンバレーにある2棟のオフィスビルで働く700~800人のエンジニアを統括するとの話だった。企業がある程度の規模に成長すると、そのカルチャーや思考は固まってしまい、これを変えるのは難しくなる。わたしは過去に大学の教え子をフォードのインターンシップに送りこんだことがあったが、業務効率が非常に低いことがわかった。無人運転車を実験に使うのに申請してから3カ月も待ち、無数のレポートを書き、それでも一度も車に触れられないというのだ」
「これはフォードの問題ではなく、自動車産業全体の先天的欠陥なのだ。自動車メーカーには大規模な量産体制や品質管理能力など独自の強みがある。しかしAI開発となると途端に難しくなる。テクノロジー面での素質が必要だからだ」
「中国の大企業で自動運転車を手がけるとなると、モノになるのはバイドゥ(百度)くらいだろう。これもバイドゥがIT企業として最もテクノロジーに強いことが要因だ」
――実用化が近いロボタクシー、ロボトラック、低速物流車両の中で最も価値のある分野は。また最も早期に実用化するのは。
「構内物流が最も早いだろうが、利益には限りがある。例えば集合住宅の敷地内で活用できたとしても、敷地エントランスから住宅棟の入り口までの走行に限られるため、事業価値は相当小さい。充電設備やセンサーなどのコストを考慮すれば割に合わないかもしれない。小包や出前を扱う構内物流は事業スキームとして成り立たないと感じる」
「最も早く実用化し、なおかつ市場が比較的大きいのはロボタクシーか、軽トラックで市内物流を担うロボトラックだ。我々はロボタクシーと同時期にロボトラックも稼働させる。あるいはロボトラックの方が実現が早いかもしれない。なぜなら物流トラックは固定のルートを走行するため政府の認可を受けやすいからだ」
――一般消費者向けの乗用車はL4市場の主役にはならないのでしょうか。
「L4の自動運転システムは比較的高価なため、一般消費者は振り向かないだろう。10万元(約150万円)余分に支払わないと自動運転車が買えないなら、同じ予算でもう1台買い足すのではないか。しかしタクシーや物流トラックなら話は違う。10万元払ってドライバーの賃金がカットできるなら、非常に合理的だからだ」
「高級車として販売するなら、200~300万元(約3000万~4500万円)に20万元(約300万円)ほど上乗せしても構わないだろう。いずれにしてもニッチなマーケットになるし、富裕層が専属ドライバーを雇う出費と変わらない。将来的にハードウェア面でコストが下げられれば、L4技術も自家用車向けに導入できるようになるだろう」
(翻訳・愛玉)
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