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新型EV「モデルY」の生産能力拡大において重要な段階にある米電気自動車(EV)大手テスラから、また1人のキーパーソンが流出した。
米EV専門メディア「Electrek」は6月10日、テスラの事業開発部門バイスプレジデント(VP)、ロビン・レン(任宇翔)氏がすでに同社を退社していると報じた。ビジネスSNS「LinkedIn」に掲載されたレン氏のプロフィールも、テスラでの在職期間を今年6月までとしている。
レン氏は電気工学を専攻し、ペンシルバニア大学で学士号を、スタンフォード大学で修士号を取得している。テスラ入社以前は、米国のストレージ機器開発企業「EMC」(現Dell Technologies)や米ネット大手「Yahoo!」などのテック企業に在職していた。
同氏は2015年5月、テスラのアジア太平洋部門のVPに着任し、中国市場を担当した。18年7月、前任者Ganesh Srivats氏の退職に伴い、同社ワールドワイドセールス部門のVPに就任し、同社の中国人幹部としては最上位のポストを得た。19年5月から今年6月までは事業開発部門のVPを務めた。
ワールドワイドセールス部門在職中、レン氏はテスラの上海ギガファクトリー建設を推進し、同社が中国で初めて単独出資により工場を建設した外国の自動車メーカーとなるのに貢献した。イーロン・マスク氏は「ロビンはワールドワイドセールスの職務を立派に遂行している。彼は上海で生まれ育った人物で、他の中国人社員とともに上海でのギガファクトリー建設において重要な役割を果たした。ロビンをはじめとする中国人幹部は、工場の順調な運営を確実に保証するとともに、地元政府との良好な関係を構築した」と彼の業績を評価している。
事業開発部門在職中、レン氏は主に中国におけるエネルギー事業のプロモーションを担当していた。テスラは今年3月、第三世代ソーラールーフ(Solar Roof V3)を中国市場に導入し、まず最初に上海メガファクトリーで採用している。レン氏の離職は、中国における同社のエネルギー事業展開に影響する可能性もある。
キーパーソンの離職はテスラにとって重大な損失になるとみられるものの、同社には長期間在職する幹部人材が控えている。北米地区セールスオペレーション責任者のTroy Jones氏やセールスファイナンス・事業開発部門のバイスプレジデントKen Morgan氏も同社に10年間在職したベテランだ。
米資産運用会社アライアンス・バーンスタインのアナリストToni Sacconaghi氏のリポートによると、テスラでは毎年、幹部の約27%が交代しており、マスク氏の側近については約44%が離職している。一方、リポートの中で比較対象とされたAmazonやUber、Facebookなどの離職率は平均で約9%だった。
Sacconaghi氏は、テスラ幹部の離職率の高さは同社の厳しい企業文化を反映しているとの見方もあるとした上で、同社の幹部らの会社の方向性や実務面に対する深刻な憂慮を反映している可能性に懸念を示している。
(翻訳・田村広子)
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