早熟の覇者TikTok(一) インド・米国・ブラジル市場で新世代SNSのスターに

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早熟の覇者TikTok(一) インド・米国・ブラジル市場で新世代SNSのスターに

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ショート動画サービスのTikTok(中国国内版は「抖音 Douyin」)は、海外進出を果たした中国のIT関連プロダクトの中では最も成功した例といえる。親会社のバイトダンス(字節跳動)が2018年7月に発表したデータによれば、TikTokは世界約150カ国の市場に投入され39カ国語に翻訳され、世界のMAU(月間アクティブユーザー数)は5億人にも達する。TikTokユーザーは昨年も増加し続けており、現在ではさらなる伸びを記録している可能性が高い。以下、世界の大市場での状況を追ってみよう。

インド

TikTokはすでに世界100カ国以上に進出しているが、そのうちインドは同社にとって最大のマーケットとなっている。米調査会社SensorTowerのデータによれば、TikTokのインドでのダウンロード数(Apple StoreおよびGoogle Play Store経由のもののみ統計)は2019年に延べ3億2300万回に達し、TikTokの世界総ダウンロード回数の44%を占めた。

インドの人口ボーナス期は今後数年は続くとみられ、人口の年齢構造も若年化傾向にある。このため同国は中国企業がグローバル市場に参入する際に見逃せない重要地域となっている。TikTokに加え、ライブ配信プラットフォーム「YY(歓聚時代)」傘下のシンガポール発アプリ「Likee(旧称LIKE)」、アリババ発の「VMate」、およびシャオミ(小米集団)が投資した現地アプリ「ShareChat」なども、インド市場における重要なショート動画アプリだ。

TikTokはこうした競争相手に立ち向かうため、インド市場で二刀流戦法に打って出た。まずTikTokでは英語話者が多いインドのエリート層を、また「Helo」ではより幅広い現地語系のユーザー層をターゲットに定めている。

Heloの関連画像

米国

テックジャイアントが林立する米国は、TikTokにとってインドに次ぐ第二の巨大市場だ。

バイトダンスは2017年にショート動画クリエイターのコミュニティ「Flipagram」と音楽系ショート動画アプリ「Musical.ly」を相次いで買収した。リリース間もないTikTokはこうしたアプリと統合され、これによりコンテンツと海外ユーザーを急速に囲い込み、これ以降は配信規模、ユーザー数、知名度ともに右肩上がりの段階に移行していった。2018年10月にはTikTokの米国でのダウンロード数がFacebook、Instagram、Snapchat、YouTubeを上回り始め、アプリ分析データ会社プライオリ・データによると、昨年11月の時点でTikTokの米国でのダウンロード数は4100万回に達したという。

TikTokを利用する米国アンドロイドユーザーの2019年の増加状況

昨年のTikTokの成績は傑出していたが、今年に入り突如発生した新型肺炎が、TikTokにさらなるユーザー数の伸びをもたらしている。

Sensor Towerのデータによれば、TikTokは今年1月に延べ770万回のダウンロード回数で米国エリアにおける非ゲームアプリ部門ランキングのトップに輝き、前年比28.3%増の伸びをみせた。翌月2月も引き続き世界で最も多くダウンロードされた非ゲーム系アプリとなり、米国でのダウンロード回数は延べ640万回に達している。また3月にはユーザーのアプリ利用時間が合計6億時間を突破した。第1四半期全体では、iOSおよびGoogle Playでの総ダウンロード回数は延べ3億1500万回となり、全てのアプリによる記録を塗り替えた。

しかし、破竹の勢いのTikTokが今も「新参者」であることに変わりはない。米リサーチ会社eMarketerの調査データでは、2019年10月の時点でTikTokを使用していた米国のネットユーザーはわずか9%であり、37%のユーザーはTikTokについて一度も聞いたことがない事実が明らかとなった。とはいえ、この点が米国には依然として巨大な成長ポテンシャルがあることを裏付けている。

画像提供:eMarketer

ブラジル

インドや米国に加え、ブラジルは2019年下半期以降、ショート動画アプリをめぐる市場競争が最も厳しい国の一つとなった。

TikTokは「長年の仇敵」である「Kwai(中国版は快手 Kuaishou)」とブラジルで再び対峙するかたわら、Facebookがリリースした「Lasso」とも正面対決することになった。しかし半年が過ぎた現在、Facebookの試験的アプリであるLassoは大した市場の反響を得られておらず、ブラジル市場全体はTikTokとKwaiによる一騎打ちの様相を呈している。

時間軸からみると、KuaiはTikTokより早くブラジル市場に参入しているが、TikTokの伸びは依然として力強い。Sensor Towerのデータによれば、今年2月のブラジルにおけるTikTokのダウンロード回数は延べ970万回に達し、最大の市場であるインドに次ぎ2位となった。

ブラジルにおけるTikTokのランキング データ提供:七麦数据

早熟の覇者TikTok(二) ハッシュタグ広告が絶好調 人材引き抜きでさらなる成長狙う

(翻訳・神部明果)

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