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ファーウェイ傘下のスマホ・IoT家電ブランド「栄耀(Honor)」の趙明総裁はかつて、栄耀の目標はスマホで国内2位、IoT家電で国内トップになることだと語った。
スマホで2位ということは、トップはファーウェイに譲るとして、シャオミ(小米、Xiaomi)、「OPPO」、「vivo」を追い抜くことを意味し、IoT家電でトップということは、シャオミとの全面的な対決を意味する。それでは、栄耀はどのような戦略を採っているのだろうか。
一、二級都市ではブランディング重視
中国のスマホメーカーのなかで、栄耀のIoT家電の種類はシャオミに次ぐ第2位であり、もっとも積極的にオフライン展開しているブランドでもある。
6月13日、栄耀のライフスタイル体験型店舗「栄耀Life」が瀋陽でオープンした。オープン式典には趙総裁も駆けつけた。その場で行われたインタビューにおいて、趙総裁は栄耀Lifeの店舗数を増やしていく予定だとほのめかした。
栄耀Life瀋陽店はスマホの比率が低く、ファーウェイの通信プロトコル「ファーウェイHilink」に対応するIoTデバイスの方が多い。将来的にはスマホが30%、IoTデバイスが70%という比率になると趙総裁は話す。現時点で栄耀のIoTデバイスは200近いSKUを持つ。
瀋陽店は市の中心部に位置し、近くに大型スーパーがあるため、周辺の人通りは非常に多い。店舗面積は約200平米で、近くの他ブランドのスマホ販売店と比べるとより高級感のある内装となっている。外壁の2階部分には大きな「Honor」の文字があり、栄耀というブランドを印象づけることができるだろう。
三、四級都市では代理店への利益還元を拡大
趙総裁が語ったところでは、一、二級都市での栄耀Life店のほか、三、四級都市の販売チャネルの開拓も今年の重要課題だという。
代理店関係者によると、栄耀は今年から代理店への利益還元率を前年度より3ポイント増やし、ファーウェイとほぼ同水準にしたという。それと同時に、栄耀は全国各エリアで大量に従業員を募集しており、オフライン店舗を増やしたいという狙いが見て取れる。
ファーウェイにとって、地方都市の販売チャネルは開拓したいものの、ブランドイメージへの影響から過度な値下げができないことが課題だった。それがファーウェイ、栄耀と棲み分けたことで、ファーウェイはアップルと同等の価格帯に集中し、地方都市は栄耀に一任するという戦略になったのである。
新型コロナ禍が逆に追い風となった面もある。オンライン販売が中心のシャオミの業績は堅調だが、オフライン中心のOPPO、vivoはともに販売店の閉店ラッシュが起きている。栄耀にとって、今はライバルが手放した販売チャネルを奪取する絶好のタイミングなのである。
オフライン展開のリスク
とはいえ、スマホ市場全体が低迷していることは事実である。栄耀の戦略にリスクはないのだろうか。
低価格帯の端末にしても、代理店への利益還元にしても、自社の利益率を下げることになり、オフライン販売の規模が予想通りに行かなければ、苦労して開拓したチャネルが負担になってしまう。
そのため、栄耀はシャオミのように全機種を低価格帯で維持するのではなく、シャオミと同価格帯のXシリーズ、3000元(約4万5000円)以上のミドルレンジのVシリーズ、Nシリーズと、商品を多角的に展開している。
この戦略のリスクは、ファーウェイのシェアを奪ってしまうことである。ミドルレンジにはファーウェイの製品もあり、栄耀との食い合いが起きている。そのため、前出の代理店関係者によると、栄耀がオフライン展開を強化したのと同時に、ファーウェイはオフラインのコストを削減はじめたのだという。ファーウェイが身を引き、栄耀をより成長させようというのだ。
ファーウェイは、チップの製造を委託している「台湾積体電路製造(TSMC)」から今後も製品を調達できるかどうかが不透明であり、ハイエンド機種の未来は予断を許さない状態である。栄耀のオフライン展開は、国内市場での販売をさらに増やし、グループ全体の体力を強化する戦略だと言えよう。
(翻訳:小六)
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