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6月下旬、スマホ・IoT家電大手のシャオミ(小米、Xiaomi)がAIアシスタントの「小愛(Mi AI)」を内蔵したマウスを発表した。同商品はマウスとして使用できるほか、スマートスピーカーとしての機能も備えている。
各スマホメーカーともIoTに注目しており、イヤホン、ノートPC、スマートウォッチ、スマートブレスレット、ルーターなどが発売されているが、製品ラインアップはどのメーカーも似たりよったりなのが現状だ。そのため、全く新しいIoTデバイスの試みとして、シャオミはマウスに目をつけたのである。
AIアシスタントと翻訳機能付きのマウス
このマウスの最大の特徴は、AIアシスタントの小愛を内蔵したことにある。スマートスピーカーを使用するときと同じように、マウスに話しかけて様々な操作を行うことができる。
シャオミのスマートスピーカーは音声応答の音質をできるだけ人間の声に近づけているが、このマウスにはスピーカーがないため、応答はマウスと接続したパソコンのスピーカーを使うことになり、音質面ではスマートスピーカーより劣る。
パソコン内の各種アプリケーションは、マウスの音声ボタンを長押ししてから、音声で起動させることができるが、体験した限りではダブルクリックを超える利便性は感じられなかった。
そのほかの機能として、天気、株価、日付、為替情報を音声で呼び出すことができるが、タイマーの設定やAIアシスタントとの会話を試した際には、サーチエンジンに転送されただけにとどまった。
音声ボタンを長押しした場合はAIアシスタントをウェイクアップし、短く押した場合はAI文字起こし機能が起動できる。精度と速さは概ね満足できるものだが、現時点では中国語の標準語にしか対応しておらず、方言や英語は識別できない。
翻訳機能は、画面上の外国語テキストを選択し、マウスの左側面にある翻訳ボタンを押して使用する。ただし一回の翻訳につき英文100ワードが上限であり、対応言語は英日韓の三カ国語のみだ。標準語限定で音声を英語の文字に翻訳することもでき、文字入力できるウィンドウにカーソルを合わせ、翻訳ボタンを押したまま話すと英文テキストが表示される仕組みだ。
マウスの定価は149元(約2200円)で、この価格帯ならほかにも使いやすい無線マウスが多数あるなか、シャオミは音声コントロールと翻訳機能により差別化を図ろうとしている。
AIアシスタントの大規模な展開
設計が簡単で、使用頻度の高いマウスにAIアシスタントの小愛を搭載させたことは、シャオミが今後より多くのデバイスに小愛を搭載するための布石と見てよいだろう。
昨年のシャオミの組織変更において、AI開発部門が独立した事業部に格上げされ、6つの重要開発事項の一つに「音声」が指定された。この組織再編によりウェイクアップ、音声合成などの研究を完全に内製化しており、そのマージナルコストを下げるために、独自開発した技術をより多くの製品に使うというのは自然な流れだ。
現在のシャオミのIoTデバイスにおいて、最も大きなウェイトを占めているのがスマートスピーカーである。そのため、すべてのデバイスにAIアシスタントを搭載すると、スマートスピーカーの存在感が薄れる恐れがある。それでも、そうせざるを得ない状況にシャオミは直面している。大手スマホメーカーやインターネット企業が続々とIoTデバイスを発表しているため、シャオミでは当該事業の成長率が昨年第4四半期の30.5%から、今年第1四半期の7.8%に急減速したのである。
シャオミに必要なのは、低価格以外の差別化要素である。AIアシスタントを多種多様な製品に搭載させるのは、単一製品の使いやすさや面白さを追求するためだけでなく、各製品の連携関係をより強化するためでもある。そうなれば、特定の人気商品がシャオミ製品全体の売り上げを牽引することが期待できるだろう。
(翻訳:小六)
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