軽量ロボットで刃物を自動研磨、新興企業「ROKAE」が老舗メーカーとも提携

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一般家庭の必需品として使われる包丁やはさみには、あまり知られていない複雑な製造工程がある。原料を完成品にするまでには冷熱加工の数十に上る細かい工程があり、鋭い切れ味、使いやすさ、滑らかな手触りを実現するのは容易ではない。従来の工程では、溶接や鋳造などによる成型後に研磨、艶出し、刃付け、面取りといった仕上げが施され、検査を経て出荷されていた。

これまでは、こうした細かい工程が全て手作業で行われていた。軽量ロボット開発の「珞石機器人(ROKAE)」はスマートロボットを使った刃物自動研磨ソリューションを提供し、中国で400年の歴史がある老舗刃物メーカー「張小泉(ZhangXiaoQuan)」とも提携している。

珞石機器人は刃物の水研ぎ、艶出し、刃付け、バリ取りなどの工程に対し、刃付け作業ステーション、水研ぎ作業ステーションという2つの製品を開発。作業ステーションにはいずれも自由度6の高精度・高速工業ロボット「ROKAE XB」シリーズ(繰り返し精度は±0.02ミリ)が組み込まれている。うち水研ぎ作業ステーションはロボットが複数の水研機と連動し、材料供給と研磨を自動で行う。一方の刃付け作業ステーションは力制御ソフトを搭載するロボットが「AutoGen智能視覚計画系統(スマートビジュアルプランニングシステム)」と連動し、刃物の刃付けを自動で行う。

水研機の自動材料供給

同社パートナーの王皓氏は、自動化された機械を使って刃物を製造することには以下のメリットがあると説明した。

■全体の生産効率が向上する。同社によると、水研ぎ作業ステーションは10秒以内に機械へ材料を自動供給し、機械稼働率(機械1台当たりの生産可能件数に対する実際の生産件数の割合)は95%に達する。刃付け作業ステーションは手作業に取って代わり、時間の制約も受けないため、生産効率を50%以上向上させられる。

■一致性と歩留まりを確保する。ロボットを使って刃物を研磨すれば全ての半製品に同様の研磨方法と強度が保たれ、刃先形状の一致性を確保できる。手作業では技術、経験、気力が原因で一致性を確保することが難しく、それが歩留まりにも影響する。

こうした効果を得るにはいくつかのポイントがあるという。

まず、刃物など半製品の研磨精度と一致性は、研磨道具との接触面にかかる圧力に左右されるため、精度を高めるには一定の圧力を正確に加える必要がある。

次に、刃付けの質は往々にして職人の技術と経験に応じて決まるが、この工程には長期的な経験の蓄積を要する。機械がベテラン職人と同じような能力を発揮するには工程を正確に数値化し、それを機械にプログラムしなければならない。

最後に、刃物は種類が多く製造工程が複雑なため、ロボット本体の安定性と安全性を確保する必要がある。

以上のポイントに対し、同社は正確な力制御を実現すると共に、自社で研究開発したAutoGen智能視覚計画系統による視覚的な分析を通じてロボットに動きを決めさせ、機械の誤差を補うことで刃付け、バリ取り、艶出しなどの工程を安定的かつ効率的に進めることを可能とした。

同社のエンジニアは研磨や刃付けなどの工程を正確に理解するため、刃物研ぎの職人や専門家と共同で研究を進め、最終的には同社のアルゴリズムと結びつけて工程をデータ化した。

フレキシブルな操作も同社の刃物自動製造ソリューションが持つもう一つの特徴で、作業ステーションは4~10寸の刃物の刃付け、バリ取り、艶出しが可能だ。工程のモジュール化に加え、AutoGen智能視覚計画系統によって様々なタイプの刃物の研磨と刃付けに対応できる。

「AutoGen智能視覚計画系統を使えば、半製品を取り替えても担当者はプログラムのデモンストレーションを行う必要が無いため、製品の種類を変えるのも容易だ」と王皓氏は話した。

刃物を研磨するロボット

また、同社が設計したフローティング研磨メカニズムでは、やすりや研磨ブラシなどの研磨消耗材をカスタマイズして様々な半製品に対応すると同時に、水研機システムがロボット制御システムとリアルタイムに生産情報をやり取りすることで、製品の工法、種類、生産能力といったデータを確認しながら研磨した製品の一致性を確保している。

特に注目できるのは、同社が研究開発した高性能制御システムは、ロボットが研磨中の振動を効果的に抑えると共に「IP67」の防塵・防水性能を持ち、水が飛び散る状況でもロボットの安定的な作動が保証されている点だ。

珞石機器人は、ROKAE XBシリーズ工業ロボットを使った刃物の研磨だけでなく、ピストンやシリンダーブロックなど複雑な部品のバリ取りや、鋳物、プラスチック製品、ガイドレールの研磨と艶出しの自動化ソリューションも開発した。

2019年には世界トップクラスの研磨消耗材サプライヤーであるフィンランドの「Mirka(ミルカ)」と戦略的提携を結んでいる。(翻訳・神戸三四郎)

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