パワード義足を開発する東大発ベンチャー「BionicM」が数億円の資金調達   中国人創業者

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パワード義足を開発する「BionicM」(中国名:健行仿生)が、シリーズAで数千万元(約数億円)の資金調達を行ったことがわかった。出資者は株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社、国立研究開発法人科学技術振興機構の3社である。

BionicMは2018年に設立されたベンチャー企業で、ロボットと人間を融合するモビリティデバイスの研究開発を通じ、今までにないパワード義足の実用化を目指している。同社は東京と中国深圳にオフィスを持ち、両地域で事業を展開している。

BionicMの創業者兼CEOの孫小軍氏は、9才のときに下肢を切断し、その後15年間に渡り、松葉杖を使っていた。2011年、孫氏は日本留学中にはじめて義足を装着したが、様々な問題点を発見したため、自ら義足を開発することを決めた。

孫氏は東京大学博士課程において、ヒューマノイド・ロボット技術を義足に応用する研究を行っており、BionicMの技術はこのときの研究に基づくものである。当該研究は2015年に東京大学の情報システム工学研究室で始まり、これまでの5年間で2000万元(約3億円)の資金を費やし、製品を第8世代まで進化させてきた。また、下肢切断者の歩行能力を全面的に高めるスマートパワード義足も開発している。

全世界で下肢切断者は1200万人以上に上り、義足の市場規模は約60億ドル(約6400億円)で、年平均6%以上の成長を続けている。しかし、現在市販されている義足の99%が受動式義足で、人間でいえば関節と骨しかなく、筋肉がない状態である。そのため、階段の上り下りが難しく、転倒や二次的障害につながるリスクがある。その上、義足市場は欧洲の大手3社がシェアの70%を占める寡占市場であり、技術革新が遅れていることも課題である。

孫氏は、自動車産業において「CASE (コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)」が大きな変革をもたらしたのと同様、義足産業でも「CASE」に類する変化が起きると見ている。なかでも、電動化と自動化を実現するスマートパワード義足は、ブルーオーシャン市場だという。

電動化の目的は、パワード義足のモーターに人間の筋肉のような役割をもたせることである。使用者の体重を支え、伸縮することで自然な歩行を実現する。自動化は、義足に設置されたセンサーによって地面の様子や使用者の歩行姿勢を検知し、状況に合った動きを実現するものである。さらに、こうしたデータをクラウドに保存し、使用者のクセに応じて最適化することが可能となる。また、データを使い義足の開発をさらに改善することもできる。

BionicMはすでに産業技術総合研究所と共同研究を行い、スマートパワード義足の試着評価を始めており、来年初めに商品を発売する予定である。中国と日本市場での販売から始め、将来的には世界市場を目指す。(翻訳:小六)


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