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ライドシェア最大手の「滴滴出行(DiDi)」が、「花小猪」という新しい配車サービスを開始した。DiDiの目的は何だろうか。
DiDiはこれまで、主力となる配車サービス以外に、「優享」という通常より高額な配車サービスを展開している。価格という点からいえば、花小猪は廉価版の配車サービスということになるだろう。
しかし、優享はDiDiのアプリから利用できるが、花小猪は独立したアプリとなっている。DiDiが提供する各種配車サービスのなかで、最初から独立したアプリとして運営されるのは異例だ。利用者から見ても、ダウンロード、登録、使い方に慣れるといった手間が必要になる。
DiDiの配車サービスは低価格が売りであり、そこにさらに低価格の花小猪を追加したことの意味は何だろうか。花小猪の孫枢総経理は、「花小猪はDiDiの事業革新の試み」だと話す。
孫氏はDiDiのライドシェア業務を担当する副総裁であり、会社の中心メンバーの一人である。昨年末に彼が会社から独立し起業するとの情報が流れたが、実際は花小猪の総経理就任という人事だった。
花小猪は今年3月から、貴州省の遵義市、山東省の臨沂市など中小都市で試験的に運営を開始したが、宣伝などにおいてDiDiとのつながりについて言及することがほとんどなかった。孫氏によると、サービスを開始した当初は、社内・社外向け問わず、DiDiとのつながりを秘密にしていた時期があったという。その理由については、「新しくインキュベートした事業は体力がないため、保護する必要があった」と語る。
今年7月以降、南京、合肥、天津、煙台などの複数都市の行政機関が花小猪に行政指導を行った。その理由は、花小猪が配車プラットフォームとしてのライセンスを取得していないのではないかというものだ。実際はDiDiが運営するため、同一のライセンスで複数のサービスを展開することになり、規則上問題ないと孫氏は説明する。しかし、あまりにも秘密主義を徹したため、各地の交通行政機関への説明が不十分だったとも認め、現在問題解決に向けて動いているという。
孫氏によると、花小猪の運転手は全員DiDiにも登録しており、運転手になるには本人確認、経歴審査などがあり、基準はDiDiと同じだという。利用者にとって最大の違いは、花小猪が配車時に乗車地点と下車地点の距離をもとに、自動的に料金を算出し、運転手がどのルートを走行しても、自動算出された料金を適用する点である。この方法は、メーターを使う通常の料金より安いことが多く、利用者にとって確かに割安感がある。しかし、渋滞の待ち時間も料金が上乗せされないため、運転手が渋滞の多い時間帯は花小猪での注文を受けたくないと考え、朝晩のラッシュ時は車両を呼ぶのが難しくなる。このことは、多くの利用者が不満に思う点でもある。
花小猪は乗車時に携帯番号の下4桁を運転手に知らせなければならず、また、下車前に決済することを奨励している。ほかにも、配車時に進んで長い待ち時間を希望したり、SNSにシェアしたり、友人を招待したりすれば、クーポンがもらえるなどのキャンペーンがある。これらの手続きについて、孫氏はその煩雑さを一方で認めながら、一方では低価格で若年層利用者を獲得するため、必要な措置であるとも話している。さらに「運営チーム、サービスの名称、アプリの見た目、利用者とのやり取りなど、すべて若年層向けに焦点を絞っている」と話す。
中国のモビリティ市場は膨大であり、DiDiがまだ展開できていないところもある。今年4月に公表された3カ年戦略において、DiDiは3年以内に全世界で1日の利用回数1億回、中国国内での浸透率8%、全世界での月間アクティブユーザー数8億超えという目標を掲げた。
花小猪は、まさしく地方市場の利用回数と浸透率を増やすために登場したものである。その効果を高めるため、花小猪はローンチから半年後の今も、利用者向けの補助金キャンペーンを続けている。いつ補助金を終了するかについて、孫氏は現時点ではまだ決まっていないと語った。
(翻訳:小六)
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