ドメスティックブランドに特化したセレクトショップ ブームの中国でOMO展開

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中国では近年「国貨」と呼ばれるドメスティックブランドの商品がブームとなっている。製造技術、機能性、意匠が進化し続けた結果、ますます消費者の支持を得ており、多くのECプラットフォームが新興ブランドをプッシュしている状況だ。こうした背景を受け、ドメスティックブランドに特化した販売業者が登場した。

2016年に設立された「HEYSHOP」はニューリテールを展開するセレクトショップで、今年になって取扱商品をドメスティックブランドに一極集中させた。コスメ、ファッション、フード&ドリンク、インテリア&ファニチャー、ペットの五つのカテゴリーを設け国内600以上の新興ブランドと1万点以上の人気商品を扱う。

創業者の李博氏はドメスティックブランドのブーム到来とブランド直販型のDTC(Direct to Consumer)に着目した。しかし多くのDTCブランドは顧客に接触し、その意見を聞きとる手段を持たない。こうしたブランドにチャネルを提供するサービスが必要だと感じたという。

HEYSHOP はDTCブランドやニッチ分野の商品を集め、ミレニアル世代の女性をターゲットに展開する。若い消費者は新しいライフスタイルやドメスティックブランドに対する許容度が大きく、新興ブランドはより大きな機会を見出せる。HEYSHOPで取り扱う商品はいわゆるブランド物と言われる商品とプチプラ商品の中間の価格設定がされており、平均客単価は400元(約6200円)となっている。

HEYHSOP

HEYSHOPは出店ブランドに集客チャネルを提供するだけでなく、顧客体験を改善するための多くのアプローチ法も提供する。体験はオフライン、取引はオンラインの形式をとるのもそのためだ。

体験を提供する場としては上海に1000平方メートルの体験店を設け、出店ブランドの商品展示やイベント開催を行うほか、カフェやバー、撮影スタジオなどを併設する。実際の購入はオンラインに移り、ミニプログラム(ミニアプリ)を経由させる。さらにSNSコミュニティなどを通じてブランドと顧客間のコミュニケーションを図り、発売前商品あるいは発売後商品についてのフィードバックを収集する。

さらに効果的にユーザーにリーチするため、KOC(Key Opinion Consumer、社交力や発言力を持つ一般顧客)やKOL(Key Opinion Leader、特定分野に長けたインフルエンサー)などのインフルエンサーも起用する。彼らを通じて一般消費者の声を吸い上げるのだ。また、一定数のフォロワーがつき、特定の商品カテゴリーにおいて一定以上の影響力を持つオピニオンリーダーを選び、商品販売を委託。コミッションレートは3~17%に設定している。

実店舗の試着室はライブコマース用のスタジオとしても活用している。人気口コミアプリ「小紅書(RED)」や短文投稿サイト「微博(Weibo)」のKOLやKOCと長期提携し、月ごとに好みの商品を選択してもらい、販促コンテンツを制作してもらっている。

HEYSHOP

出店ブランドは月極め契約となっており、倉庫やスタッフ、システム、運営サービスなどの支援をワンストップで行っている。

データに基づく運営も行っている。各商品に関連して発生したインタラクションの状況を分析し、自社スタッフやオピニオンリーダーからのフィードバックも総合的に反映しながら、グラフィックデザインや包装、コストパフォーマンスなどの項目について複合的な商品評価を行い、迅速なブランドの最適化を図っていく。

現在、HEYSHOPの実店舗の月売上高は約100万元(約1600万円)、会員数は1万人以上、提携するKOCは1000人以上でリピート購入率は30~40%となっている。来年には上海、北京、成都、杭州などの一級都市に店舗を開業していく計画だ。

新興ブランドが次々と誕生する中、運営能力に難のあるケースもあり、これがセレクトショップにとっては商機となっている。創業者の李博氏は、出店ブランドを厳選すること、何度も購入してくれる熱心な顧客を集めることでDTCブランドの顧客獲得コストを下げ、顧客にとってもより便利な購買チャネルを提供できると考える。

HEYSHOPはこれまでにエンジェルラウンドで「梅花天使投資管理(Plum Ventures)」から、プレシリーズAで「飛馬基金(Feima Fund)」から出資を受けており、現在も新シリーズでの資金調達を計画中だ。
(翻訳・愛玉)


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